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空を見上げた。

第14章 12。



「少なくとも、お前とお前との子どものためだろう?そして、は、この世界でそばにいることはできなくても、全て身勝手な言動だったとしても、「どこかで生きている」とお前が信じていたように信じて生きている。お前のことを誰よりも理解していたのはだ。あの子はお前の強さを誰よりも理解している。だからこそ、あの子は強さを自分たちのためだけに使ってほしいと思えなかったんだ」

確かに、の性格や思い、考えについては、俺が誰よりも深く理解していると自負している。そして、も俺の性格や思い、考えていることを誰よりも理解してくれていたことは信じている。

俺は兵士だ。兵士である限り、命を賭けて何か、或いは人を守ることが存在意義の一つだと理解している。それでも、その「守るべきもの、人間」の中にはの存在や生活も含まれている。

どんな綺麗事や理屈も並べても、そのことだけは変えようのない俺の中の「兵士であるための信念」だ。俺だって、そう簡単に命を賭けて捨てられるほどお人好しな性格ではない。という存在と共に生きていく未来を想像し、守りたいからこそ、命を賭けて戦うことができている。

「じゃぁ、何か?自分のことを気にせずに、俺の命と未来、よく知りもしない人間の命と未来を優先したとでも言いたいのか?」

俺は静かにそう呟きながらエルヴィンに視線を移した。エルヴィンは俺の問いかけに「分からない」と言うかのように、小さく首を左右に振った。

その後、エルヴィンは何も語らず再び真剣な表情で俺を見つめているだけだった。俺は小さく息を吐き、整理と理解が追いついていない頭では、この男が今何を考えているかを察することは不可能だと判断した。

最初に言っていたように、エルヴィン自身もすべてを把握しているわけではない。同様にハンジも把握しておらず、再び問い詰めたとしても無意味だろう。

今、俺たちがこうして問答を繰り返しても、何も結論は出ない、むしろこの時間は無駄だ。すべてはに直接、考えていることや気持ちを聞くまでは結論には至らず、解決しないだろう。

俺はそう思い、エルヴィンに向けた視線を逸らし、「もう、何も考えられない、考えたくない」とその場に再び蹲り、頭を抱え、現実から逃げるように思考を停止させた。

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