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空を見上げた。

第14章 12。



これまでのことしか考えていなかったという現実に何度も直面し、そして、がいない現実を受け止められず逃げていた部分があった。

それでも、何度も実感し受け止めていた感情だと理解していたが、今回の件を通して、よく逃げずにこの感情を抱えて生きてこられた自分に感心してしまった。

俺は一度ため息をつき、無意味な思考を巡らせて考えていると、不意に静かにトントンと自室のドアがノックされた。頭を抱えたまま視線をドアに向け、今は余裕がないため無視しようとした。しかし、ドアのノックは止まず、「煩わしい」と思い顔をしかめた。

「リヴァイ、俺だ。開けてくれ、話がある」

すると、無視を決め込んでいた俺に対して、ドア越しにノックを繰り返し声をかけてきた人物はエルヴィンだった。さすがにハンジではないとすぐに察することはできたが、この男が俺に気を使い訪ねてくるとは思いもよらなかった。

俺は「放っておいてくれ」と言おうとしたが、なぜか心の中にいる、もう一人の自分が「向き合え」と言っているように感じ、一瞬躊躇した。しかし、結局「入れ」と小さく声に出し、入室の許可を出した。

すると、静かな室内にギィと不快な音を立ててドアが開く気配がした。俺はその音、いや、今俺の耳に聞こえてくるすべての音が煩わしく感じ、耳を塞ぐように頭を抱え、まぶたを閉じた。

エルヴィンはすぐに室内に入ってはこず、床に蹲り、頭を抱えている俺の姿に視線を向けている気配がした。しかし、すぐに何も言わず、静かに室内に入ってきた。

そして、俺のそばを通り過ぎ窓際まで歩いていくと、窓のそばに置いてある机の上に、あの場に置いて来てしまった俺の拳銃を静かに置いた。

そして、俺は頭を抱えた体制のまま小さく息を吐き、無言で窓際に立ち腕を組んでいるエルヴィンに顔を向けた。

エルヴィンは「話がある」と言っておきながら、しばらくの間、無言で窓の外を見つめていた。俺の目に映るエルヴィンの姿は、窓から差し込む日差しによって逆光でぼんやりと霞んで見えた。不明瞭な姿に少し苛立ちを覚え、エルヴィンから目を逸らした。

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