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空を見上げた。

第14章 12。



これまで、どんなときも俺は誰に対しても余裕があるよう見せかけ、取り繕っていた部分があった。「何をしているんだ」とそんな自分に対して馬鹿らしいと思い、うんざりしていた。そして、今回の件で、「取り繕うことの無意味さ」と、「余裕」がいとも簡単に崩れ去ることを、今日改めて実感した。

そして現在「が生きていてトロスト区にいる」という情報は確かであると確信できる。ハンジは決して下手な嘘をつかない。もし嘘をついていたとしても、長い付き合いの中でハンジの性格をある程度を理解しているため、簡単に見破れると確信していた。

それでも、実際に反応を確認するまでは、最初はすべてを半信半疑に思っていた。それでも、あの時の最後まで口を割らなかった反応を見て、俺はその一瞬で全てを察することができた。

そして、その事実に、無残にも心の中で何かが崩れていく感覚を覚えた。ハンジを責めることはしない。何か理由があったことは理解できる。それでも…俺は頭を抱えていた両手のうち片手だけを強く握りしめ、拳を握りしめて強く床に叩きつけた。

「ふざけやがって、なぜ…なぜなんだ…!」

そして、吐き捨てるように問いかけた。しかし、そんな俺が呟いた問いかけに答えが返ってくることはなかった。再び俺は虚しさを抱えながら頭を抱え、拳を握り何度も床に叩きつけることを繰り返した。室内で何度も拳を叩きつけたため、床は不快な音を立てて軋んでいる。

その行動が無意味で、ただの八つ当たりに過ぎないことは理解している。それでも、が生きていると知ったからこそ、の考えていることが何一つ分からず、抱えている気持ちを理解するまでは根本的な解決にはならないと思った。

そして、その事実に無残にも心の中で何かが崩れていく感覚を覚えた。ハンジを責めることはしない。何か理由があったことは理解できる。それでも…俺は頭を抱えていた両手のうち片手だけ強く握りしめ、拳を握って強く床に叩きつけた。

今、俺が抱えている問題は一見簡単に見えるが、実際は非常に難しいと感じている。再び頭を抱え、奥歯を強く噛みしめた。

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