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空を見上げた。

第14章 12。



何度息を吸っても吐いても酸素が足りず、激しいめまい、頭痛、耳鳴りに襲われた。部屋の中は妙に静かで、俺の耳には自分の鼓動だけが早鐘のように響いているように感じる。

そして、今になって「自分は今、こんな所で何をしているのだろうか」と自問自答を繰り返し始めた。自室にどうやって戻ってきたかも詳細には思い出せず、その前に起こした自分が何をしたのかもあまり思い出せなかった。

それでも、一つだけはっきりしていることは、あの時、全てを投げ出しても良いと感じるほど無我夢中だったということだ。

昨日、エレンが報告した内容を確認したとき、これまで俺の中でバラバラになっていたパズルのピースが一つずつ揃っていくように感じた。

そして、そのすべてはハンジの言動の中に隠されていたと理解したとき、ハンジを問い詰めれば何らかの情報を得られると思った。しかし、ハンジも何も考えていないわけではなく、そう簡単に口を割ることはなかった。

それもそのはずだ。ハンジとはお互いに「先輩と友人」という関係を超えて、誰よりも信頼し合う親しい存在だった。きっと二人は、俺の知らない「何か」で繋がっており、それには俺も踏み込むことができないのだ。

そのため、ハンジはきっと「のために自分にできることをする」と考え、行動に移したのだろう。今回の騒動の原因は、ハンジとの身勝手な言動によって引き起こされたものだ。

ハンジが何を考え、どんな思いを抱えていたかまではわからない。それでも、ハンジとには譲れないものがあり、同様に俺にも譲れないものがあった。ただそれだけのことだった。

そのため、俺は一つも無駄にしたくなかった。できるだけ多くの情報が欲しかった。そのためには、どんな手段も選ばないと心に決めていた。

そして、実際に強行手段に出た。今振り返ってみると、俺の行動は「仲間に銃口を向ける」という常軌を逸したものであり「やりすぎだった」と頭では理解はしている。

しかし、あの時の俺は自暴自棄になっていた部分もあり、常日頃から実感していた「のことになると、俺の全ての感覚も感情がかき乱される」ということを改めて実感した。

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