第14章 12。
ギィという音を立てながら、自室のドアが閉まっていく。俺はドアを後ろ手で閉めながら、力なくその場に立ち尽くし、窓から差し込む日差しのおかげでかすかに暖かい部屋の中を見渡した。
自室に戻ってきたことに気づいたが、どうやって戻ったのか思い出せず、眉をひそめた。そして、無意識に室内に一歩踏み出した瞬間、片足に激痛が走り、小さく呻きながら腰を抜かすように力なく座り込んでしまった。
その時、改めて「自分は足を負傷している」ことに気づいた。そして、今、自分の思考や感覚が麻痺し、何も感じず考えられない空虚な自分がいることを実感した。
頭を働かせて現状を整理しようと考え始めたとき、さまざまな感情に支配されていくような感覚に妙な恐怖を抱いた。俺はその場に座り込んだまま、再び室内に視線を巡らせた。
室内は、今の荒んだ俺の心情とは真逆で、窓の外から差し込む日差しのおかげでかすかに温かく穏やかだった。しかし、俺の心の中ではその現実をかき消すように吹雪が吹き抜けているようだった。
俺は激痛を伴う片足に視線を移し、そっと手を添えて優しく撫でた。しかし、そんなことで痛みが和らぐのなら、安静にしている意味もないだろう。俺はそう思いながら、大きくため息をつき顔をしかめた。
「生き…てる…が…生きて…」
そして俺は自分の両手に視線を移し、そう小さく呟いた。今、俺の目に映る手も言葉を紡ぎ出した唇も震え、「が生きてる。トロスト区にいる」という事実を何度も呟き、夢ではなく現実であることを、俺は脳内で何度も反芻した。
俺は自分の両手を見つめながら、突然、激しくカタカタと震え始めたことを気づき、それを抑え込むように頭を抱えた。そして、髪の毛を強く掴んで頭を振った。
大きく深呼吸を繰り返すが、頭の中に巡る事実が思考を妨げている。喜ばしい事実が目の前にあるにもかかわらず、心から喜べない自分がいて、「自分は何を考えているのだろうか」と小さく体を縮こませるように頭を抱え、髪の毛を強く掴み続けた。
俺は「生きている、トロスト区にいる」と何度も呟きながら、「どうして…なぜだ…」と頭の中で繰り返し呟き、要領を得ない感情の答えを求め続けた。