第13章 11。
私にとって「という存在」は、誰よりも可愛くて、大好きな後輩であり友人だ。しかし、それと同時にリヴァイも唯一無二の、かけがえのない友人だ。
私は二人がお互いに抱く気持ちを理解しているからこそ、二人の存在を天秤にかけるのは私には不可能だった。
リヴァイはこれまで何年もの間、ただひたすらのことしか考えておらず、仕事中以外は彼女を誰よりも何よりも一番に考えて思っていた。
そして、今も相変わらずのことばかり考えている。その証拠に、彼は周囲の目を気にすることなく、威厳もプライドもすべて投げ捨てて私に詰め寄ってきた。
今回の件がなければ、これほどの愛情の深さを再確認することはなかっただろう。
「リヴァ…ィ…待っ…て…ぐっ…はぁはぁ…」
私は呻くようにリヴァイの名前を呼んだ。しかし、呼び止めても彼に掛ける言葉が思い浮かばなかった。リヴァイの後ろ姿に必死で手を伸ばし続けたが私に近寄ってきたエルヴィンが肩に手を置き、「やめておけ」と小さくつぶやいた。その瞬間リヴァイに構うのをやめさせられた。
私はエルヴィンの言葉を聞いた瞬間伸ばしていた手は行き場を失って彷徨い、全身の力が抜けていくのを感じた。
そして、地面に爪を立てて握りしめ、深呼吸を繰り返しながら頭を抱えた。私はただ心の中でリヴァイとに対して「すまない」と謝ることしかできなかった。
私はその気持ちを胸に抱きながら、首元を抑えて何度も咳き込み、深呼吸を繰り返した。しかし、思うように息が吸えず、酸欠気味も相まって、半分過呼吸の状態になっていた。
「ハンジさん!」
「分隊長!」
すると、リヴァイがその場から姿を消したことで、周囲に漂っていた緊張感が和らぎ、モブリットやエレンたちが急いで私の元へ駆け寄り、心配そうな表情を浮かべた。
私は普段のように彼らに接することができず、首元を抑えて咳き込み続けた。ヒューヒューと深呼吸を繰り返すたびに、かすれた音が口から漏れていた。
「ハンジ、後で何があったのか説明してくれ。エレンたちはハンジを食堂へ」
「りょ、了解です!」
すると、私の様子を確認したエルヴィンは安心したように小さく息を吐き、何度か優しく私の肩を優しく叩いた。そして、瞬時に真剣な表情に切り替え、その場にいる全員に指示を出した。