第13章 11。
私はリヴァイの様子に恐れを抱き、手綱を持つ手が震え、脚もかすかに震えていた。さらに閉じた唇さえも震えていた。
いや、自分自身に意識を集中させると、全身が震えていることに気づいた。リヴァイに対してこれほどの「恐れ」を感じたのは初めてで、頭の中は真っ白になり、何も考えられず、何も言えなくなっていた。
私は一瞬、私とリヴァイの間に割って入っているエルヴィンや、突然始まった私たちのやり取りを息を呑んで見つめるモブリット、さらにエレンや104期のメンバーに視線を移した。しかし、今のリヴァイから視線を逸らすことは危険だと判断し、すぐに視線を戻した。
私だけでなく、その場にいる全員が今のリヴァイの異常な様子に言葉を失い、身動き一つできずにいる。きっと、この場にいる全員が考えていることは同じで、「余計な言動は起こせない」と理解しているのだろう。
現在のリヴァイから漂う雰囲気は非常に危険であり、言葉では表現しきれないものである。今の彼は「普段の厳しく思いやりのある姿」ではなく、「本来の姿」だと錯覚させられる。
厳しさと同時に思いやりを持ち、仲間を大切に思っているリヴァイの姿も、彼の嘘偽りのない一面だ。しかし、今の彼の姿を目にするのは、この場にいる全員にとって初めての経験だ。そのため、ここにいる全員が「何が正しいのか」ことなのかを正確に判断することは難しいだろう。
「…そうか…言わねぇか…それなら…仕方がねぇ…」
すると、リヴァイは何も言わない私から視線を逸らし、静かに抑揚のない声でそう言いながらうつむいた。そして、私に向けていた拳銃をゆっくりと下ろした。
その時、突然強風が吹き抜け、砂ぼこりを立てた。私はその風の強さで視界が悪くなったため、驚きながら片手で顔を覆い咳き込んだ。
その場にいる全員も同じ様子だった。一瞬、リヴァイが拳銃を下ろしたことで全身から力が抜け、馬の手綱を握る力が緩んだ。
そして、「逃げる」という言葉には語弊があるが、愚かにも「この場を離れるなら今しかない」と思い、再び馬の手綱を強く握りしめ、素早く背中に飛び乗ろうとした。
すると、再び強風が吹き抜け、土埃が舞い上がり視界が悪化し、その瞬間だった。
「い”っ…だっ…!!」