第13章 11。
今回の作戦は、これまで以上に緊張感を持って臨む必要がある。私だけでなく、調査兵団の兵士一人ひとりの言動が、作戦の失敗を引き起こす可能性がある
そのため、しっかりと話を聞き、作戦が成功するように尽力しなければならない。そして、私はこれ以上余計なことを考えないように、再び意識をエルヴィンたちに集中した。
リヴァイの存在は一旦頭の隅に追いやった。しかし、少しでも気を抜くと集中力が途切れてしまう。そのため、私は何度も根拠のない「大丈夫」という言葉を自分に言い聞かせた。
――――。
「では、作戦の最終確認はまた後日行う。今回はこれで解散としよう」
「了解です!」
あれからどれほどの時間が経過したのだろうか。長くも短くもあったように感じていた。しばらくそれぞれの意見を出し合い、話し合った末に、エルヴィンの掛け声で会議は終了した。
そして、その場にいた全員が、返事をし、緊張感が和らいだ。
そして、私は早鐘のように脈打つ心臓を抑え、素早くテーブルの上の書類を片付け、誰よりも早く食堂を後にした。そんな私の後を、慌てた様子のモブレットが追いかけて来た。
私はそんな彼に気を配る余裕もなく、できるだけ早くこの場を離れたいと思っていた。
会議が終了し、自分の書類を片付けている間も、相変わらずリヴァイは私を見つめている気配を感じていた。私は「やっぱりね」と思い、その視線の意味をすぐに理解した。
それでも、できる限り回避したいという思いが、今も私の頭と心の中に溢れている。身勝手にも、そのように考えている自分がいるのだ。
私は食堂を出ると、馬舎までの決して遠くない距離を、逃げるように半ば走りながら歩いた。背後ではモブリットが「分隊長、待ってください。どうしたんですか?」と心配そうに声をかけているが、私はその言葉に返事をせずに、ただ歩みを進めた。
急いで馬舎に到着すると、繋いでおいた自分の馬に「お待たせ」と声をかけ撫でた。それから、手綱を握って、外に連れ出した。
すると、次々とエレンたちが城の中から姿を現し、外に出て普段会うことができないメンバーと談笑している。私の姿を見た彼らは「お疲れ様です」と声をかけてくれた。私は皆に手を上げて笑顔を向けながら応え、馬に跨ろうとしたその瞬間だった…
「待て、クソメガネ。少し面貸せ」