第12章 10。
そして、その問題によってはエルヴィンに報告する必要がある。エレンの存在を含め、現在、壁の内側や各兵団内にはこれまで以上の緊張感が漂っている。
先日の壁外調査では成果を上げられず、調査兵団の立場は危うくなっている。そのため、エレンを憲兵団に引き渡すという話も出ているのだ。今、余計な問題を起こせば、調査兵団の立場はさらに危うくなる可能性がある。
現在、これまで以上に気苦労が絶えないエルヴィンに、これ以上の心配をかけたくはない。そう言っていられない状況は仕方がないとしても、できる限り自分の管轄内で発生した問題は自分で対処したいと考え、状況を整理するために腕を組み、黙って痕跡を見つめていた。
そして、心の中で「燃やして処分したいもの、処分すべきもの」を一つ一つ思い浮かべ、消去法で探したが、考えても何も思い浮かばない。
もしそのようなものが存在するなら、それは機密情報か兵団にとって都合の悪いものである可能性が高い。それは簡単には処分できない。しかし、そのようなものを処分する際は、より一層の注意が必要である。
このように隠れて処分されるものは、機密情報を除いてそれほど多くはない。しかし、人には言えないことや隠したいことは必ず一つや二つ必ず存在する。
大それたことばかり考えていると、小さな問題を見落としてしまう。視野を広げて考える必要がある。そう思いながら片足をかばってその場を立ち上がり、もう少し奥まった場所を探すために生い茂る草木をかき分け、再度注意深く探したが、何も見つからなかった。
何かが燃された痕跡だけが残り、他の証拠は徹底的に消されていた。俺は結論が出ない問題に顔をしかめながら、「これ以上は無駄だ」と判断し、最後に周囲を見渡してため息をついた。
そして、わずかな違和感と名残惜しさを感じながら、茂みの中から出て行った。
しかし、俺の管轄内で俺に気づかれることなく行動できる人物は、そう多くはないだろう。俺が不在であったり、注意が逸れている瞬間を知っている人物は、現在常に行動を把握しているエレン以外には存在しない。
考えすぎていることは理解している。しかし、なぜか心に引っかかりを感じ、頭の中で警告音が鳴り響いているように思え、全神経が逆なでされるような感覚が、俺自身を納得させてくれなかった。