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空を見上げた。

第12章 10。



しかし、ここまで来てしまった以上、エレンを呼ぶために一度室内に戻るのは面倒だ。そこで、転ばないように地面を注意深く見つめながら、地道に探すしかないと考え、歩き続けた。

しばらく意識を集中して地面や茂みの中を探し続けていると、ふと茂みの外に視線を向けたとき、完全に城の裏手に来ているのを確認した。

すると、先ほどまで微かな匂いしか感じられなかった焦げた匂いが、次第に強くなり始めた。俺はその場で一度立ち止まり、まぶたを閉じて意識を集中した。

そして、これまで以上に集中して匂いの出所を辿るために歩き始め、今いる場所より少し奥まった茂みの中へと進んでいった。

「ここ…か…?」

茂みをかき分けて進んでいくと、視線の先に一か所だけ芝生が際立って燃えている場所が目に入った。警戒心を強め、周囲に視線を巡らせながら静かにその場に近づき、怪我をしている片足をかばいながらしゃがみ込み、指先で黒く焦げた地面をそっと撫でた。

しかし、エレンが水をかけたと言っていたが、この強風のせいで地面はすっかり乾いていた。

俺は眉をひそめ、はっきりしない気持ちを抱えながら、地面を撫で、黒く汚れた指先をハンカチで拭った。顔をしかめながら再び周囲に視線を巡らせたが、いくら注意深く燃え残りのカスを探しても、何も見当たらなかった。

おそらく、この場で「何かを燃やした人物」は、目的の物が徹底的に燃え尽きるまで火を消さなかったのだろう。非常に用心深い行動だと感じられる。しかし、証拠が何も残っていなくても、この痕跡は残る。目的が見極められず、気味の悪い感覚だけが心に残った。

現在、この古跡およびその周辺の敷地は俺の管轄内だ。そして、この場所を知る者は調査兵団の団長のエルヴィンと幹部の数名、さらに各兵団の高位の兵士数名のみである。

この城跡滞在中、関係者以外の目撃情報は一度も報告されておらず、もし関係者以外の者や不審者が目撃された場合は、誰かが気づいて報告するだろう。

現在、この場には以前のように班のメンバーはおらず、俺とエレンの二人だけだ。見落としている部分があっても、不思議ではない。

しかし、二人だけだからこそ、より一層注意を払う必要がある。そのため、今回のような事例が報告された場合は、問題が発生する前に早急に対処し解決しなければならない。

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