第12章 10。
『ーさん…リヴァイさん…』
「…ん……?おまえ…こんなところで何をして…」
『何を言ってるんですか?起こしに来たんですよ。朝ですよ、起きてください』
「…あぁ、朝か…悪ぃ…今起き…!?」
の姿を見て声を聞きながら、寝ぼけた思考が徐々に鮮明になるのを感じ、震えるまぶたを開けた。
そして、勢いよく飛び起きの名前を呼びながら手を伸ばした。すると、心臓が早鐘のように脈打ち、息苦しさを紛らわすために大きく深呼吸を繰り返した。
しかし、その場でぎこちなく視線を巡らせの姿を探したが、先程までそばにいた彼女はどこにも見当たらない。当然、部屋の中にも彼女はいない。
俺はその現実にしばらく呆然とし、虚空を彷徨う手を握り締め、拳を作って布団に強く叩きつけた。そして、その拳を額に強く押し当て、大きく息を吸い込み、深く、長く吐き出した。
「くそが…」
そして顔をしかめて、吐き捨てるように呟いた。何年も何度も同じような夢を見て、毎朝情けなく飛び起きる。そんな毎日を繰り返している自分に、いい加減辟易としてきた。
それでも、何度も繰り返してしまう。「もう慣れた」と思っていても、思考と心はついていけないのだ。今ある現実に時折、完全に心が壊れそうになる時がある。
それでも、ここ何年も心が壊れずにいるのは、未だに「は生きている」と諦めないからだ。もし諦めてしまえば、今は何とか壊れずに保っている心が本格的に壊れてしまうかもしれない。自分のことなどどうでも良かった。「の存在」だけが俺の全てなのだ。
「気持ちわりぃ…」
俺はそう思いながら顔をしかめ、呟いた。大量の寝汗で額に張り付いた前髪をかき上げ、体に纏わりつくシャツに悪態をつきながら、布団から出てベッドから立ち上がろうとした瞬間、ズキッと微かな痛みが片足に走り、力なくベッドに腰を下ろし、再び顔をしかめた。
そして、片足を怪我していたことを思い出し、短く息を吐いた。のことを考え始めると、すべての思考や感覚が麻痺し、どうでもよくなってしまうことが多い。さすがに仕事中は気持ちを切り替えるが、一人になる時間があり、その時間が長くなるほどのことを考える頻度が増える。