第11章 9。
今のリヴァイは、普段部下に囲まれ、冷静かつ上に立つ者としての威厳に溢れる姿でも「人類最強」と称賛されるほど立派な姿でもはない。ただ、愛おしい人を思い、愛し続けている一人の男に過ぎないと実感した。
「すまない…」
私は片手を腰に当て、もう一方の手で目元を覆って、呟いた。その呟きは、広大な土地と美しい夜空の下に消えて行く。もう後戻りできないことが多く、そのすべてがリヴァイを傷つけるものであるため、人知れず謝罪を述べることしかできない。
できればあの背中を追いかけたい。それでも、それはできない。いや、しないのは、私が自分で判断をし、決断したことの重みを理解しているからだ。
リヴァイのことものことも私の中で大切だからだ。しかし、そう思いながらも、実際には全て自分の弱さだと実感しているのだ。
私はリヴァイとの存在を結びつけ、誰よりも応援し見守っていたのに、誰よりも愛し合い、思い合う二人を引き離してしまった。
大きな苦しみを抱え、その苦しみから逃げてはいけないと思いながら、自分の胸元を強く握りしめ奥歯を噛みしめ、一人その場に佇んだまま動けず、心の中で何度も謝罪を述べた。