第11章 9。
私はそう言葉に出した後、「最悪だ」と思い、大きな後悔の念に襲われた。そして、その場で頭を抱え、自分を殴り飛ばしたい衝動に駆られたが、この状況でするほど空気が読めないバカではない。私は心の中で「やめてくれ」と自分自身に叫び続けた。もし私がこの場から離れられないのなら、リヴァイに早く部屋に戻ってきてほしいと強く思った。
「そんなこと…聞かなくてもお前が一番分かっているだろうが」
「…うん、そうだね…ごめん」
しかし、リヴァイは苛立たしげに言い放った後、舌打ちをした。私はそう呟き、思わず彼の言葉を聞き、自分の余計な言葉でこんなにも彼の素直な気持ちを聞けたことに喜びを感じてしまった。
そして、二人は相変わらずだと再確認した。離れ離れになってしまいそれなりに年月は経っているのに、何も変わっていない。
今もリヴァイの心はという存在で埋め尽くされている。その事実に涙が出そうになる。なぜ、こんなにも思い続けることができるのか…きっと、その答えは「愛している」からだろう。
私は隣に並んで立っているリヴァイに視線を向け、彼の頭のてっぺんから足のつま先までじっくりと視線を巡らせた。この男は気持ちだけでなく、30代という年齢にしては見た目が若々しく、あまり変わらない。
時折、彼が何か特別な薬を飲んでいるのではないかと考え、もしそのような薬が存在するのなら、実験のために少し分けてもらえないかという的外れな考えが現実逃避のように頭の中に浮かんできた。
「…リヴァイはさ、変わらないよね」
「あ?何言ってやがる。さっきから本当に気持ちわりぃな」
「いや、やっぱり前言を撤回するよ。変わった部分も多いや」
私はそう言いながらリヴァイを見つめ、彼の呆れた様子と胡乱な瞳を向ける態度を見て苦笑いを浮かべた。人間は簡単には変わらない。
いや、人間はその時の感情や環境に応じて、順応するために、変化を繰り返していく。変わらない人間などいない。その証拠に、私にも変わったところがあるし、もリヴァイに向ける思いや愛情は変わらないものの、兵士を辞めて姿を消してからは、新しい生活に慣れるためにさまざまな部分が大きく変わっただろう。