第11章 9。
そして、視線をそらし、周囲を見渡した。私の手にはから預かったマントと手紙が入った紙袋がある。さすがに、裸で持ち歩くことはためらわれた。
「燃やして処分する」という行為は、この狭い壁の中では簡単なようで難しい。そのため、リヴァイに見つかる可能性が最も高いこの場所以外に、誰にも見られずに行動を移せる場所が見つからなかった。下手にゴミ箱に捨てると、他の兵士に見られる可能性もある。
それならば、最後まで責任を持って自分の手で処分するために、多少のリスクを負うことも仕方がない。そう考えながら私は大きくため息をつき、足早にその場から古跡の裏手に回り、少し離れた茂みの中に入った。
そして、周囲に燃え移りそうなものが無いことを確認して、その場にしゃがみ込んだ。
「すまない、リヴァイ…私はこの状況下で、君がこの世で最も大切にしているものを奪ってしまう…」
私は紙袋を胸に強く抱きしめながら、この場にいないリヴァイに向かってそう呟いた。そして、頭の中にの姿を思い浮かべると、当然のようにリヴァイの姿も浮かんできた。
二人は一心同体であると言っても過言ではなかった。どちらか一方が欠けてしまえば、生きている意味などないのではないかと思わせるほど、二人の愛情と思いやりは強く、彼らの絆を引き裂くものなど存在しないと信じていた。それは、当時の二人を知っている人々は理解していたことだろう。
私は紙袋を体から離し、一度中身を取り出した。そして再び、胸に強く抱きしめた。
大きく深呼吸を繰り返して、できることならこのままリヴァイの元へ行き、全てを話してしまいたい。しかし、それではの覚悟との思いが無駄になってしまう。
私は心に決めた。この先、彼女一人に抱え込ませない。私は私なりに、離れた場所から彼女を思い支えよう。離れ離れでも、この広い空の下では必ず彼女と繋がっていると信じている。そう思えば、私にも力が湧いてくるのだ。
私はそう思いながら、私はシャツの胸ポケットから小さく折りたたまれた、かなり古びた紙を取り出した。そして、その紙を広げると、それは一枚の封筒であった。