第10章 8。
この先、彼の隣で自由に飛ぶ私がいなくても、私は誰よりも自由で華麗に飛ぶ彼の姿を知っている。その力強さと美しさに最初に気づいたのは私だ。この事実だけは誰にも譲れない。
シイナは、私が身動きを止めて思いにふけっていると、不思議そうな表情で私を見つめ、首をかしげていた。私はただ、遥か遠くを自由に飛んでいく二羽の鳥を見つめ続けた。
「(飛んでゆけ…どこまでも…自由に…飛んでゆけ…)」
そして、私は不思議そうに首を傾げている彼女に微笑みかけ、すでに高い壁の外へ姿を消してしまった二羽の鳥に心の中で呟いた。
私は、これからも変わらずリヴァイと私の「思い出と絆」であるこの空を見上げ続ける。この空は、彼と私の切りたくても切ることのできない「運命の糸」なのだ。彼が生きていて、私が生きているという現実は、何にも代えがたい「最愛」なのだ。
「ああ…空が青い…」
再び青い空を見上げて呟くと、彼女はそっと私の肩に手を置き、何度も優しく叩いてくれた。それはまるで「大丈夫」と伝えているかのようで、私は彼女の思いに心を委ね、「離れ離れでも、必ずこの空の下で繋がっている」と自分に言い聞かせた。