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もう1人のヴァンパイア

第1章 序章



屋敷はフランスの街中から離れた場所にあった。私の住んでいた小屋もフランスにあったけど、国境近くの森の中だったから街並みなんてもう何百年も見ていなかった。

「……ここに住んでいる人は何人いるの?」

「ああ、俺を入れて十人いる。そのうち一人は人間の執事だけどね」

「……人間の執事?」

ここに来る間、この屋敷の住人が皆蘇ったヴァンパイアで偉人であることを聞かされた。なんで蘇らせたのかは聞かないでおいた。そこまで他人に詮索するつもりなんてないし、他人に深く関わると自分が辛い思いをする。もう他人に深く関わらないと決めたのだ。あの人を失ってからもう何百年経っただろう。


屋敷の中は広い。出迎えたのはさっき伯爵の話してた執事だった。

「伯爵、こちらの女性がニコラ・フラメルさんですね」

「ああ、今から夕食だろう?良かったらニコラも……」

「…………その申し出は嬉しいけど、今日はやめておく。お腹も空いてないから」

部屋はどこ?と執事に訊くと、

「案内します」

さっと部屋まで案内しようとしてくれた。

「……伯爵、今日はありがとう夕食はまた気が向いた時にご一緒させてもらうから」

「そうかい、楽しみにしているよ」

優しい微笑みで私を見送る。

「では、行きましょうか。ニコラさんのお部屋は……」

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