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もう1人のヴァンパイア

第1章 序章



秋の頃、私は小屋にやって来た男性に出会った。

「…………なぜ私の名前を知っているの?もう人と会うことなんて無いと思ってた」

「君の話は知っている。歳を取らない可憐な錬金術師、ニコラ・フラメル」

そんな有名なの?まあいいや、私は貴族のなりをした男性と向き合う。

「……君はヴァンパイアだろう?」

「!知ってたの……?」

「ああ、もうかなり昔からね」

ということはこの人もヴァンパイアなんだろう。

「……貴方のお名前は……」

「ああ、サン・ジェルマン伯爵。そう呼ばれているね」

「サン・ジェルマン……!」

不老不死のタイムトラベラーとか色々言われているあのサン・ジェルマン。知らないはずはない。何度も耳に入ってきたから。

「……なぜ、その高貴な伯爵様がこんな小娘に用が?わざわざ出向いたということは……」

「君を屋敷の住人として迎えたいんだ。ここでは生活しにくいだろう?」

私の言葉を遮るように言った。屋敷って?住人って?

でも、ここは生活しにくい。夏はとても暑くて、冬は凍える寒さになる。その度に凌ぐ物を作ってきた。それにここは寂しい。街で錬金術をやっていた頃は弟子達もいて賑やかだった。今は誰もいない。私を知る人なんていない。

少し考えた後、

「……錬金術が出来るなら、貴方の屋敷に行ってもいい」

「決まりだね」


こうして私は伯爵の屋敷に住むことが決まったのだ。
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