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もう1人のヴァンパイア

第1章 序章



アーサーside

新しい住人は錬金術師というよりは魔女寄りで、とても数百年生きているとは思えない愛らしい少女の見た目をしているらしい。

「……気になるじゃん」

情報量が多くて気になる。セバスチャン曰く部屋に篭って薬を作っているとのこと。惚れ薬だったら揶揄ってやろうと思って部屋の前に来た。

「…………なーんか、いい匂いがする」

甘い匂いが微かに鼻腔をつく。お菓子の甘さと言うか、何かの香水みたいな匂い。

これは本当に惚れ薬かもしれない、とドアを開ける。

「新しい住人さーん?挨拶くらいしたらどう?」

ドアを開けて目の前に広がるのは。

「………………………………えっ?」

茶色の髪に若葉色の瞳の少女が、こっちを見て目を見開いていた。そして持っていた薔薇を大鍋に落としてしまった。

「な、な、なんで…………?どうしてあなたがここにいるの……?生まれ変わったの…?嘘でしょう……っ」

大粒の涙を流してこちらに近づく少女。

「え、どうしたの…?」

「ユリウス……っ」

「……そういうことか」

推理通りなら、この少女は……。
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