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【ルパン三世】初恋は煙草のかほり

第6章 エピローグ


『昨晩、東京スカイツリーの地下であった謎の地震。それに関連していたとわかった五十嵐清次郎容疑者が逮捕されました。五十嵐容疑者は四年前に亡くなった山田野春樹さんを殺害した人物だということも判明しており…』


寝ぼけ眼でテレビを見つめる千代の瞳に映ったものは、夜に行ったはずの東京スカイツリー。それと、keep out の黄色いテープの近くに立っている子綺麗な女性アナウンサーと銭形警部だ。


千代はいまだに信じられなかった。


自分はテレビに映っているあの場所にルパンたち、そして銭形警部に清次郎といたのだ。



そして、春樹が本当に死んだと四年越しに現実を突きつけられる。



自分が今、胸につけているこのペンダントは父親に未来を崩壊させるように任せられた証なのだ。



ぼーっとしていると、千代の頬になにか冷たいものが当たった。



「千代、これよかったら。近くに有名なカフェがあってね。このミルクティー美味しいのよ」


「…不二子さん」



「いつまでもくよくよしてないで前を向きなさい。それと、私みたいな人になっちゃだめよ?」


「ええ…不二子さんは美人なのに」


「そういう意味じゃなくてね……ううん、そうよね。私みたいないい女になりなさい。じゃあ、行くわね」


不二子はウィンクすると、ライダースーツのジッパーを上げる。


彼女がアジトを出ようとした瞬間、どこからかルパンが現れた。


「おお、不二子。もう行くのか」

「そうね、ここはもう用無しだから」

「ひどいんじゃないの〜?」

「ふふふ、またね」


なにか穏やかな雰囲気の二人を千代はじっと見つめてしまう。


付かず離れず、だがどこか強く信頼し合っている。


この四人の間にはやはり自分が入る余地もないのだと、千代にはわかってしまったのかもしれない。


アジトを出た不二子はバイクに跨がり、颯爽と去っていった。


 

「さあて、昼飯食って昼寝でもしたら今度は君をおうちまで送り届けなきゃいけないね」


「……次元さんは?」


「大丈夫、次元も五ェ門も一緒に行くさ」


なにかを思い出すように千代に向かって微笑んだルパンは煙草を咥え火をつけると、小さく煙りを吐いた。
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