第5章 囚われの少女
「…このまま崩れるかもしれねえな」
「ええっ、そんな無茶な!」
小さく呟いた次元のジャケットを思わず掴んでしまう千代。
「ここから外に出れるわ、さあ早く!!」
不二子が開いた出入り口からその場を離れていくルパンたち。
「とっつあん、博士のことは頼んだぜ!」
「待てルパン、話は終わっとらんぞ!」
清次郎の腕にはめた手錠を引っ張りながら、部下たちとルパンたちのあとに続く銭形。
銭形たちが出た瞬間、地面が崩れ始めた。
地面が崩れる中でルパンたち四人は軽々と地上に上がって行くのだが、千代と銭形と清次郎だけが取り残されている。
「やばい、地上に早く上がらねえと」
「こい、千代!!!」
次元はふらつきながらも千代に手を伸ばす。
(そっか次元さん怪我してたんだった)
昨日あった出来事を彼女は思い出したのだ。
研究所に忍び込んだとき、次元は清次郎に足を撃たれていた。
「飛び乗れ!」
風圧で次元の被っていたハッドが脱げた。
精一杯自分に向かって手を伸ばし、神経な目を向ける次元。
……再びあの綺麗な次元の瞳が心をついてくる。
なぜ、自分の心の中にはこんなにも彼が焼きついているのか。
勢いよく飛び乗り、次元の上に落ちる千代。
千代は顔をしかめながら自分を受け止めてくれた次元に、なにかどこか懐かしいものを感じたのだ。
「とっつあんはしーらね!」
「ひどいぞルパァァァァァァン!」
地上に上がろうとする銭形に笑いながらルパンは呑気に手を振った。