第5章 囚われの少女
「テロス…ギリシャ語で終わりを意味する言葉。そういうことだったのか。このまますべてを終わりにするのも面白いかもしれねえなあ!」
「ルパン、なにを言っておるのだ!?」
ついに狂ったか、というかのような目線で五ェ門はルパンを見つめる。
「この世は闇で溢れている、俺のような紳士な怪盗もいればこの博士のように裏では悪党なことをやっているやつもいる。君のお父さんはそんな現実を消そうとしたかったんじゃないのか?」
ルパンは両手を広げ、まるで演劇のようなオーバーなリアクションをするのだった。
そんな彼を呆れたように見る不二子。
「さあ千代、赤・黄・青・緑の中で好きなものを選べ」
「なんで私が選ぶしかないんですか?」
「君が選んだものでこの世界が終わるというのならそれまでだったってわけだよ。そういうのも面白いだろ?それにな今の俺にはこんなもの、必要ない。五ェ門、今からやることはわかるよな?」
「斬鉄剣でつまらぬものは斬りたくないが……仕方があるまい」
「……お」
「……聞こえぬぞ」
「青!!」
なにかを決意したような真剣な顔を五ェ門に向ける千代。
そんな千代を見て五ェ門は少しだけ微笑んだ。
「よし、参る……!」
五ェ門は勢いよく斬鉄剣を構え、千代が言ったように青のコードを斬る。
すると白い光に周りが包まれ、次に気づいたときにはテロスのすべてが停止していた。
起き上がろうとする清次郎を銭形はまたしても抑えつける。
「余計なことを…」
すべてが収まったと思っていたのもつかのま、地震が起こる。
地震といってもこの場所、東京スカイツリーの地下だけだろう。