【BASARA】幸村落ち。元遊女ヒロイン【内容激しめR18】
第6章 忍笑い
「あまり牡丹を傷つけるのはよしてもらえますか?又兵衛さん」
「あぁん?」
牡丹が気を失いかけた時に現れたのは…。
ご主人様である天海様だった。
「ここに、きちんと独眼竜をご用意していますので、今日のところはそのくらいで勘弁願えませんか?」
ドサリ…と地に投げ出されたのは、あの色男。
奥州の伊達政宗だった。
牡丹は何故彼が敗れたのかと驚嘆したが、天海様が何を考え何を行おうとしているのか、牡丹は気が付いていたから更に慌ててしまった。
「ま、政宗様っ!」
牡丹は叫ぶように呼んだが、無惨に横たわる片目の竜の反応はない。
天海様の作った毒薬に眠らされているのかもしれない…。
そう考えた牡丹を遮るように伊達政宗を呼び起こしたのは他でもない、この男、後藤又兵衛だった。
「伊達ぇ…政宗ぇ!?」
彼は政宗様を見るやいなや途端に牡丹への興味を失い、彼への中傷を始めたのだ。
「お前、本当にこんなところに来たんだ?しかも単身でぇ?馬っ鹿じゃねぇの?」
地に這い瀕死の男を無碍に足蹴る又兵衛は、キキキッと呪われた人形のように高笑いをあげた。
その様子に呆れたように微笑んだ天海様は、
「では私は一先ずこれで。…何やら日陰の血生臭い猿が遊びに来たようですので…」
と言い残し、ふらふらとこの場を後にした。
しかし政宗様はその瞬間を待っていたように瞑っていた眼を光らせ、こちらを見上げ言ったのだ。
「あの猿…小十郎とまではいかねぇけど、最高に良い仕事するよな…なあ牡丹」
「ま、政宗様!」
牡丹がほっとしたようにもう一度その名を呼ぶと、彼はフッとクールに笑み、そして又兵衛に一撃を入れ吹き飛ばした。
「聞けよ牡丹。あの猿、俺のこと大嫌いな癖に必死の形相で頭を下げに来たんだぜ。真田を助けてくれってな…」
「猿…?ということは佐助さん!?良かった…武田が滅ぼされた訳じゃなかったんだ…!じゃ、じゃあ幸村様は…!?」
「…HA!…なるほどね、漸くお前の意図が分かったぜ、猿…」
政宗はその刹那に襲い来る刃に六爪を抜き、又兵衛の攻撃を防いだ。