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【BASARA】幸村落ち。元遊女ヒロイン【内容激しめR18】

第2章 出逢い


「ぶばっはぁ……!!!!」

天海様の残党を狩りつつ屋敷の中心部に私の姿を見つけた彼は、それまでの男らしい槍さばきに似つかわぬ声を上げ、鼻血を噴出した。

どうせ殺されるなら最後くらいと私を陵辱していた男達に紅蓮の炎を浴びせると同時に、私を吊っていた赤い縄も焼き焦がし、私はどさりと床に倒れ込んだ。

「その、そのそっ!そのっ!だ、大丈夫でござろうか!!!」

大丈夫とは何を指すのだろう。
私に怪我がないかどうか、ということだろうか。
それとも、この屋敷でされてきた様々を案じての台詞だろうか。
それとも…。

「そ、某!お、おな、おな、おなおなお、おなごのそのっ!!!!!」

とても、慌てている。
顔が耳まで真っ赤だ。
入口で一気呵成に目通りを叫んでいた男とは思えないくらい酷く動揺していた。

「よっと。あっ、ちょっと出遅れちゃった。ごめんねー驚かせて!この人、ここの屋敷の不届き者、成敗しに来ただけだから。つまり助けに来たって訳。君らここに売られて捕らえられて不憫な思いしてたでしょ。悪行なら正して行くのが、うちのお館様の方針だからさ」

それだけでなんとなく察しは付いたが、皆まではわからない。
ただ、私はこの生き地獄から開放されたのだけは理解できた。

「うちの大将、こういうの、てんで駄目でさ。他の女人は、皆逃げたみたいだし残っているのは君だけみたい。だから、はい、これは餞別。これくらいあれば、新しい生活が出来るでしょ」

そうして麻袋に入った小判を渡された。
ずっしりと重たい。
この屋敷に居た時は、賃金は渡されず、食べ物と住まいがあるだけマシだと思っていた。
だけど、この人達は…。

「行くぞ!!!!佐助!!!!某にはこの場、耐えられぬ!!!!」

鼻血が止まらないのか、ぐっと手袋を嵌めた手で拭い擦り、彼はそのまま私に背を向けた。
陣羽織には菱形の武田軍の御旗が宿っていた。

ここは大阪城下町。
彼はわざわざ、甲斐からこの地に趣き、私やその仲間たちを救ってくれたのだ。
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