【BASARA】幸村落ち。元遊女ヒロイン【内容激しめR18】
第2章 出逢い
「ほ〜ら、言ったこっちゃない。だからあれほど俺様注意したのに!!!」
「それはっ…!!!お館様には不当に女子供を働かせる不届き千番を蹂躙し、世の平和の礎とせよと命じられた為!!!しかしまさか、かような場とは……っ!」
「まぁ、ほら?大将ももう子供じゃあるまいし、まして女にいちいち漲ってばかりいたら、一国を担う者としてどうかと思うよー俺様は」
「分かっておる!!分かっておるのだが佐助!!!!某はおなごというものが苦手なのでござる!!!!特にかすが殿のような!!!!!」
「かすがの?なにがよ?」
「だから…それは…!!!!」
たったそれだけのことで口籠ってばかりいる、この新しい武田の虎は。
「そんなことじゃ、先が思いやられるのは仕方ないことでしょ、大将。きっと、奥州の伊達はこんなことくらいじゃ動揺したりしないよ?」
「なっ!!!!こんな時まで政宗殿と比べるとは卑怯でござるぞ!!!!」
「あんたが不甲斐ないから言ってんの。お館様だって、そう思ってるから今回この役目を大将に仰せつかったんだ」
「うぐぐ…ぬぅ…」
そんな会話の応酬が聞こえてきて、私はやきもきしてきた。
今、この場で逃げ出していないのは、私だけである。
他の者は皆、女郎も客も逃げている。
もちろん、天海様もだ。
縛られた縄が絶対に解けないのを知っている。
けれど、あの紅い男が来る前に、逃げ出さねばならないことだけは理解していた。
私にとって敵か味方かもわからない。
まあ、産まれてこの方、味方なんて居なかったのだが。
「大将。ひとまず中、確認してみたら?誰かまだ残ってるかもよ?」
「うむ。そうだな」
まずい。
こちらに来る。
こんな縛られた姿を見られたら、何されるかわかったものではない。
だけれども、それは杞憂に終わった。