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【BASARA】幸村落ち。元遊女ヒロイン【内容激しめR18】

第5章 言合い


「牡丹殿!お待ち下され!!」

全力で駆け付け呼び止めると、少し振り返りこちらを見た牡丹に安心した幸村は同時にその足を止めた。
しかし牡丹はぷいとそっぽを向いてまた歩き始めてしまう。
幸村はそれを見て、

「な、お待ち下され!!」

ともう一度走り出し彼女の隣を死守した。
しかしその後の言葉が思うように出て来ない。
暫くというには足りないほど長い時間、宛もなく城内を二人、無言で歩いていた。
その間幸村は幾度かザビー教本性書に記してあった、

其の壱、手を繋ぐ。

其の弐、抱きしめる。

其の参、口付ける。

等々のてくにっくを思い返していたが、どれも手先がやきもきして硬直してしまう。
だから、

「牡丹殿…某は…」

魂が出かけんばかりに意を決して口説き文句を口にしようとした。
しかし…。

「あら、あっちは何があるのかしら…」

とか、

「こんなところにたんぽぽが咲いてますね」

とか、簡単にはぐらかされてしまい、幸村は人生最大級に困っていた。

このままだと埒が明かぬが、夜は明けてしまう。
そう見越した幸村はとうとう観念したように言った。

「その…あれは…修業の一環で…」

等と信じるおなごはいるのだろうか。
俺ならば信じない。
他の男に抱かれ、良がり狂う牡丹を見て気が触れそうになった俺だから分かるのだ。

だが、果たして牡丹も同じ気持ちになるのだろうか。
初心で恋心も知らぬ、おなごの事にからきし免疫のない俺と、遊女を抜けたばかりの牡丹とでは、何もかもが違うのではないか…。

牡丹は俺が他の女と幾ら寝たとして、このような感情には陥らないのではないかと…。
臆病になってしまうのだ。
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