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【BASARA】幸村落ち。元遊女ヒロイン【内容激しめR18】

第5章 言合い


「ああ…本物じゃないと思って探してみたら、そういうことだったんですね」

「ごめん大将!頑張って変化してたんだけど…バレちゃった…」

…そなた…なんでここにおるのだ、と幸村は口に出せず呆けていた。
襖が開け放たれたその場に牡丹が居る。
その腕を引っ張る、俺と瓜二つの格好をした佐助もだ。

見られる予定はなかったし見せるつもりもなかった。
正直に言えばこれは牡丹を悦ばせる為の修業。
それを本人に知られるのは何か歯痒かったし、嫌われるやもしれぬと思った。
その気持ちが何故か、どこから来た感情なのかは幸村本人にも未だ分からないのだが。

「私には飽きましたか?では私はもう用済みですね…」

優しい笑みと言葉だけを残した牡丹は踵を返して、急ぎ足でその場を離れていく。
ぽかんとしたまま…の幸村に一言声をかけたのはかすがだった。

「追わなくていいのか?」

ヤル気が削がれ、ずるりと勝手に抜け落ちた幸村の紅虎。
そんなものを見せられたら、こちらとしても不服だ。
まるで私に興味がないじゃないか。
自負するつもりはないがこんな漢もいるのだな、と肉体美にそれなりに自信を持っているかすがは感心してしまった。

「しかし…この状況…言い逃れは出来ぬ…」

しょぼくれる幸村に、はぁと溜め息をついたのは、かすがだけではなかった。

「牡丹ちゃんがあんな風に感情的になるのも珍しいと、俺様はおもうけどなぁ…」

「どういう事だ、佐助」

「それを直接、聞きに言ったら?誤解も説いておいでよ」

ここは代わりに俺様が引き受けるからさ。
幸村の格好をしたままウィンクした馴染み深い忍びに、やはり最後はこうなるのか…と観念したかすがは言った。

「私に興味がないなら、その事も弁解しておけ。私は最初からお前など眼中に無いし、私は謙信様だけのつるぎだとな」

聞くところによれば元遊女というじゃないか。
女の気持ちくらい分かるだろうと踏んで。

そして結局はいつも佐助の良いようにされる日々に辟易しながら、かすがは今日も愛しいあの方を想い、漸く逝くことの出来る快感に無数の薔薇を散らしたのだった…。
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