【BASARA】幸村落ち。元遊女ヒロイン【内容激しめR18】
第3章 物思い
「逢いたかったですよ。幸村様」
本音を言えば抱きしめてしまいたかったけれど、私の下着を見ただけで鼻血を垂れ流している彼を想うと、これ以上の苦行を与えることが憚られてしまった。
けど、彼は、そんな牡丹の言葉に対してまでも、
「うおぁぁぁあおおおおお!破廉恥でござるぁぁぁぁ!!」
床板を頭でがんがんと砕いて乱れた思考に活を入れ始めたから、牡丹はこれ以上どうすれば良いか悩んでしまう。
だからそれを見ていた甲斐の虎は言った。
「幸村!お主、この武田漢道場にて小僧を卒業して漢になれぃ!これはワシの命じゃ!」
「な、な、な、な、な、な、な!なんですとー!!!」
「無事、筆下ろしが済むまで、一切お前をここから出さん。無論、牡丹もじゃ。お主、この幸村に惚れ、ここまで付いてきたのであろう?」
牡丹は、はいと答えた。
名乗ってもいないのに名前を知っているのは、あの佐助という忍びが情報を与えたからだろう。
しかし牡丹はふと疑問に思う。
佐助にも自分の名前を教えた記憶がないからだ。
無論、幸村様にも。
まあ、名前等、あってないようなものだが…。
「では、しばしの別れとする!用向きがあれば、佐助に伝えよ!精進するのじゃ、幸村ぁぁぁ!」
「お待ち下され!お館様ぁぁぁぁ!」
――バタン。
道場の門が固く閉ざされると、幸村様は途端に牡丹から精一杯の距離を置いた。
「そ、それ以上、某に近づくでござらん!」
そんなに勢いよく逃げなくても…。
牡丹は悲しくなったが、嫌われている以上仕方ないことだとも分かっていた。
真田幸村という人は純粋無垢で私のような無数の手垢が付いた女人が何よりも嫌いなのだと。