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【BASARA】幸村落ち。元遊女ヒロイン【内容激しめR18】

第3章 物思い


牡丹は幸村に逢いたいその一心で、日の高いうちはこの屋敷をくまなく歩いていた。
この敷地の何処かに、彼は必ずいるはずなのだ。

そして、とうとう見つけた。

「武田、漢…道場?」

牡丹はその立て札を見て首を傾げ、チラリと中を覗いた。

するとそこには、

「幸村ぁぁぁ!」

「お館様ぁぁぁ!」

「ゆきむるぁぁぁ!」

「おやかたさまぁぁぁ!」

「ゆ、き、む、るぁぁぁぁ!!」

「お、や、か、た、さ、まぁぁぁぁ!!」

などと、叫びながら赤いもふもふの角の人と殴り合う想い人が居た。

「幸村ぁ!お主!ワシの虎の異名を継ぎながら、女人の想いにも答えられぬ小童とは!恥を知れぃ!」

「されどお館様ぁ!某、おなごのことは一切合切理解できぬ未熟者!!どうか此度の命だけは御勘弁を〜!」

「その逃げ腰たるが愚の骨頂!己の弱を知り、精進せよ!」

「ぐはぁ〜、ふぼぁごはぁぁ!」

ヒューンと音を立て、私がチラッと開き覗いた門のすぐ隣の壁に、私の想い人はメリ込んだ。
多分、普通なら死んでいる。
けど幸村様は、ぶはぁと起き上がって、ちょうど私と目が合った。

久方ぶりの、澄み切った鳶色の目だ…。

見つめていると、幸村様は途端に顔を染め上げて、

「やはり某には無理でござるぁぁぁ!」

とお館様と呼ぶその巨体の虎に突進して行った。
おそらく、あの人が甲斐の武田信玄であろう。
などと思っている間に、幸村様はまたもぶん殴られて私の足元に床板を削りながら吹っ飛んできた。

ちょうど、足元…股ぐらの下に彼の顔がある。
目をパチリと開けた幸村様は…。
もう言わずもがなであったことは察して頂ければ充分でしょう。

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