• テキストサイズ

【YOI男主】騎馬の民へ捧ぐ幸運【男主×オタベック】

第1章 騎馬の民へ捧ぐ幸運


守道の前に差し出されたオタベックの左手首は、思ったよりも細かった。
それは、時折彼の手を触っていた事で知っていたが、改めて確認すると、彼の早くなっている脈を親指でそっと撫でる。
「君はバカだな。その気になればどんな相手も思いのままだろうに、とんでもなく性悪で面倒臭い男にとっ捕まっちゃったんだから」
「それは貴方もだ。まだ若いのに、『英雄』とは名ばかりの腹黒くて計算高い男に、外堀を埋められ退路も塞がれてしまったのだから」
自分の左手首を掴む守道を、オタベックは愛おしそうに見下ろす。
「もう俺は、里帰りや仕事以外で貴方を日本へ帰す気なんてないから」
「競技活動がひと段落した後で、俺と一緒に日本に来る気はないの?」
「え?そ、それは…それよりも、貴方はつけてくれるのかくれないのか、どっちだ!」
「ごめんごめん。じゃあ…いいんだね?」
返事の代わりにオタベックが小さく頷くと、守道は何処か神妙な仕草で彼の左手首にブレスレットを着けた。
程良いプラチナの重さと、その中心にぶら下がる馬蹄のモチーフを、オタベックは心底嬉しそうな表情で見つめていたが、
「馬蹄にストーンがついてる…?」
馬蹄に飾られた2種類のストーンに気が付くと、横を向いて頬を掻いている守道を見た。
「ホーク・アイと、ターコイズ。君と俺の誕生石だ」
ボソリと告げられた返事に、オタベックは思わず頬を朱に染める。
「…結局、貴方だって俺が欲しいんじゃないか。何が『もしもこの先君が別の人と恋に云々』だ」
「君が自分で着けてた時は、単なる装飾ってだけで種明かしはしなかったよ」
「でも、そのつもりでつけたのだろう?」
「…悪かったね、キモくて」
「ああ。それにちょっと気障だ」
バッサリと返された守道は苦笑したが、間もなくベッドから半ば飛び込むように自分にもたれてきたオタベックの身体を、慌てて受け止める。
「だけど…そんな男に付き合える人間は、俺だけだから」
珍しく積極的なオタベックに迫られる形で、2人は抱き合いキスを交わす。
「今夜は…そんなつもりなかったのに…」
「でも、今の君ならこの暴れ馬を上手に乗りこなしそうだよ」
いつしか守道に跨るような格好になっていたオタベックは、地を這うような恋人の囁きと足の間に当たる硬く熱いモノに、吐息を漏らすと服を脱ぎ出した。
/ 14ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp