• テキストサイズ

【YOI男主】騎馬の民へ捧ぐ幸運【男主×オタベック】

第2章 エピローグ


天気の良い休日。
防寒仕様のライダーファッションに身を包んだ守道は、タンデムステップを下ろすと、久々に愛車の音と感触を確かめていた。
守道のバイクは、現在では排ガス規制により採用されていない2ストロークエンジンであり、環境保護その他の面から歓迎されない部分もあるが、今でもライダー達の間ではレア物として人気がある。
「いつ聞いても、貴方のバイクの2ストや乾式クラッチの音は面白いな」
守道同様支度を済ませたオタベックが、ヘルメットを手に現れる。
「見た目以上にコンパクトだし、ちょっと回しただけでとんでもなく加速するから、内緒で乗った時凄く驚いた」
「でも、楽しかったんだろ?」
「走行中アクセルふかす度に、バイク乗りらしき人達が、みんな一斉に2ストの音に反応してたのが面白かったかな」
「その分ボディも部品も貴重だし、何より君に怪我されるのはご免だからもう二度としないでくれよ。まさか、爆音全開でフルスロットルとかやってないよね?」
「流石にそれは、怖かったからしてない」
守道の視線にオタベックは軽く首を竦めた。
「さて、俺へのお守りはどこにあるの?」
守道に訊かれたオタベックは、太股に装着していたホルスターバッグから、シート状のものを取り出す。
そこには、トレードマークのテディベアが、ポケットバイクに乗ったイラストが描かれていた。
「良く出来てるだろう?」
「…なるほど、確かにこれはお守りだ」
テディベアのイラストの上に書かれた「Ride Safely(安全運転で)」の文字に、守道は目を細める。
「何処に貼ったら良い?」
「お好きにどうぞ」
守道のバイクに近付いたオタベックは、燃料タンクのキャップ部分の少し上辺りに狙いを定めると、慎重にステッカーのシートを剥がし、貼り付けた。
「これならいつでも貴方の視界に入る。独りの時も、無茶しないように見張りも兼ねてるぞ?」
「君に言われたくないなあ」
満足気に呟くオタベックに笑いながら、守道は懐からあるものを差し出す。
「じゃあ、まずは君がこのお守りの効力を証明してくれないか?」
「…ああ、任せろ!」
テディベアのキーホルダーに付いたバイクの鍵を守道から受け取るオタベックの左手首で、ブレスレットが陽光を浴びてひと際輝いた。


─完─
/ 14ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp