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【YOI】銀盤の王と漆黒の王子【男主&勇ヴィク】

第4章 そばにいる、そばにいて。


【エピローグ】

「…何で僕、今季もロシアで勇利の振付確認しとんのやろ」
「ご、ごめんね。予定では日本に戻ってる筈だったのに」
「俺個人としては、すぐにでも長谷津に行きたかったんだけど、諸々の手続きその他が思った以上に厄介でさ。今後仕事し易いよう、日本にも事務所を構える必要が出てきたし」
ピーテルのリンクでは、昨年に引き続き休暇を利用して訪れた純が、ヴィクトルと一緒に新たなシーズンに向けての勇利のEXの指導をしていた。
本来は、勇利がヴィクトルと共に帰国してから長谷津で行う予定だったのだが、ヴィクトルの事情と純が昨シーズンとは異なり他の選手の競技プロなども担当する関係で、時間が限られていたからである。

「今季からシニアに上がる『サムライ』くんって、フィンランドにいるんじゃないの?」
「あの子、こないだの世界Jr終わってから家族で帰国したんよ。今は日本の高校に通いながら、昔僕も世話になった日本人コーチについとる」
「あのコーチなら大ベテランだし、きっと良い指導をしてくれるだろうね」
「『サムライ』は、今日本にいるのか?」
「うん。ユリオくんとシニアで試合できるの、楽しみにしとったで」
「へ~ぇ、ユリオも気になるんだ♪」
「べ、別にそんなんじゃねーよ!ただ、ジュニア時代の俺の記録を全部塗り替えたっていうから、根性はあるみてぇだなって思っただけだ!」
ヴィクトルの揶揄に声を荒げるも、ユーリの満更でもなさそうな表情を見て、純はそっと笑みを零す。
その時、
「くっちゃべってるだけなら、他所でやってくれよ。こっちは、これから曲かけなんだ」
「あ、ごめん」
ヤコフ門下ではないが、勇利や純と同年代のロシア人選手のきつい眼差しと声に、勇利は反射的に言葉を返した。
フンと鼻を鳴らせたその選手は、早口のロシア語で何かを呟きながら勇利の横を通り過ぎる。
彼の発したスラング混じりのロシア語は、勇利には良く聞き取れなかったが、直後「おい、お前今何つった!」といきり立つユーリと、その選手を冷めた目で追うヴィクトルと純の姿があった。
「ふふ、面白い事言うてくれるなあ…デコ、ちょっと付き合うてくれへんか?」
「…足、引っ張るなよ?」
互いにそう囁き合うと、2人は漆黒と蒼い双眸を物騒な形に細めた。
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