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【YOI】銀盤の王と漆黒の王子【男主&勇ヴィク】

第4章 そばにいる、そばにいて。


『アイスドール』の口からさらりと紡ぎ出された言葉の爆弾を聞いて、クリスは純に向き直る。
「そうやって口に出している分には、問題ないって事だよね?」
「まあな。第一、勇利はヴィクトルしか見てへんのやから、万どころか億に一つもありえん話や」
クリスの問いに、純は穏やかな表情のまま笑みを零す。
「けど…僕がそうなってしもうてもええ、て頭の何処かで考えとるのも事実。それくらい僕は勝生勇利という存在に、スケーターとしても人間としても、そして…男としても惹かれとる」
「つくづく罪な男だよね、勇利って」
「勇利は、自分の魅力にとことん無自覚やねん。何につけてもデコを基準に考えとるから、自己評価低すぎやし。大体あの子が『何処にでもおるスケート選手』やったら、一度も特強になれへんかった僕はどないなんねんな!」
「ぷふっ!」
憤慨する純が可愛らしくて、クリスは噴き出す。
「ホント、純って見た目よりはるかに熱いヤツだったんだね。現役の時にもっと知っとけばな」
「あの頃の僕は、皆の前では完全に『アイスドール』の仮面を被っとったから。今やからこうして勇利やデコや、君とも触れ合えるようになった」
「おヒゲの恋人とも?」
「…そこはSans commentaire」
フランス語で「ノーコメント」と返すと、純は僅かに頬を染めながら、氷上で互いの想いを確かめ合っている勇利達にもう一度視線をやった後、再び英語に戻した。
「ま、そんな訳で僕はこれからも振付師として、あの自覚ゼロなタラシをリンクで魅力的にしていくのが使命や」
「ヴィクトルも同じような事言ってたよ」
「甘い。勇利を魅力的に見せられるんは、デコよりもこの僕やから」
(それも一緒だね)
あえて口には出さず心の中で突っ込んだクリスは、「君にとってヴィクトルはどんな人?」と尋ねてみる。
「デコはどうか知らんけど、僕にとってのアイツは勇利を巡るムカつく『正妻』で…勇利とは別の意味で、僕の大切な『ダチ』やと思うてる」
「…君達ホント、良いコンビだよ」
FSの前夜、ヴィクトルと2人で飲んでいた時に、ヴィクトルが純を同じように評していた事を思い出すと、クリスは口元を好意的に綻ばせる。
そんな彼らのやり取りを、ユーリは少しだけ羨ましそうに眺めていた。
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