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【YOI】銀盤の王と漆黒の王子【男主&勇ヴィク】

第4章 そばにいる、そばにいて。


リンクで様々な『愛』を表現するヴィクトルと純を、勇利は凝視する。
『勇利が素敵なスケーターになる為やったら、僕はなんぼでも力を貸すで』
『勇利が望むものなら、俺が何だって叶えてやる』
自分というスケーターの、そして人間の為に惜しみない『愛』を与えてくれる2人。
(僕は、つくづく果報者だ。そして…)
この2人の素晴らしいスケーターと振付師の『愛』を、自分は享受する権利があり、同時に彼らの『愛』に応える義務があるのだろう。
「ほぉ…」
「けっ。…でも、だからこそ倒し甲斐があるってモンだぜ」
顔付きが変わった勇利の姿を、ギオルギーとユーリは見つめる。
やがて音楽が止まり、同時に動きを止めたリンクの2人は、それまで密着してた身体を勢いよく離した。
「EXやショーで即興ペアはやっとんねやろ!?もう少しまともなホールドやリフトせぇや!怪我したらどないすんねん!」
「お前が重過ぎるんじゃない?いくら現役じゃなくても、もう少し体型管理気を付けたら?」
「はぁ!?僕は今でも、シーズンピーク時の勇利と殆ど体重変わらへんわ!元々太れへん体質なんやから!」
「勇利とお前じゃ、扱いが違って当然だろ」
「…本音が出よったなこのデコが」
先程までの美しい演技とは天地の差な醜い言い争いを始めたヴィクトルと純に、周囲はまたかという視線を送る。
勇利は、そんな2人に背後から近付くと、彼らの身体に腕を回した。
「わっ!?」
「勇利?」
突然の事に口論を止める2人に、勇利は笑いかける。
「今季もよろしくね。僕の最強のコーチと振付師さん」
「OK!勿論だよ、勇利!」
「ぁ…うん…」
嬉々と返事をするヴィクトルとは対照的に、純は腰に回された勇利の手に、少しだけしどろもどろになりながら答えた。
「コラ、愛人。正妻の前で何俺の勇利に色目使ってんの?」
「ち、違うて!いきなりやったから、驚いただけで…」
「純、大丈夫?」
「平気や、有難う。誰かさんと違うて勇利は優しいな」
「だから、それが色目使ってるって言ってるんだよ!」
「毎度毎度…お前らいい加減にせんか!」

今季も『漆黒の王子』がフィギュア界に衝撃を与える前に、すっかり定番となったヤコフの雷が、リンクに響き渡った。


─完─
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