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【YOI】銀盤の王と漆黒の王子【男主&勇ヴィク】

第4章 そばにいる、そばにいて。


男声と女声の甘いユニゾンとシンクロするように、勇利とヴィクトルの2人はリンクで踊り続ける。
「…考えてたんだ」
「何をだい?」
「近い将来、今度は僕が現役を退いた時…僕らはどうなるんだろうって」
ほんの少しだけ眉根を寄せた勇利の表情を、ヴィクトルは気遣わしげに見る。
「それで、ちょっとだけヴィクトルと離れた未来を想像してみたら…泣けてきちゃった。もう貴方は、僕にとって空気のような存在なんだ」
「え…それ、酷くない?」
「違うよ」
ターンをしてヴィクトルの背後に回った勇利は、彼の手を取りながら言葉を続ける。
「貴方がいないと僕は生きていけない、って事」
「ワォ。勇利からそんな気障な殺し文句が出るなんて」
「コーチの薫陶です…って、これでも必死に考えたのに」
ブツブツと口中で零す勇利だったが、ヴィクトルの耳からうなじにかけて彼の白い肌が赤く染まっているのを見止めると、小さく息を吐いた。
再び向き合った2人は、何やら小声で囁き合った後一旦離れてリンクの端と端へ移動する。
そして、スピードに乗った見事な3Aを披露すると、もう一度互いの手をしっかりと握り締めた。
「リンクの上で雄弁なのは結構だけど、今後はリンク以外でも大事な事は伝えてくれよ。プロポーズをランジの姿勢で誤魔化すなんて真似しないで」
「…うっ」
「ホント、勇利ってそういうトコデリカシーないよね。あーあ、何でこんな面倒臭い男に惚れちゃったんだろ」
「酷っ!ヴィクトルだってヒトの事言えないでしょ!?」
そのような減らず口を叩きながらも、2人は終始笑顔を絶やさず氷の上で愛を表現し合っていた。

「『かつての皇帝は、漆黒の王子様と結ばれました。めでたしめでたし』…ってトコかな?キミも大概お人好しだよね」
「そら、『正妻』がおらんと『愛人』は成り立たんからな」
「…ねえ。正直純は、勇利の事どう思ってるの?」
「勿論、好きやで。ちょっと才能に嫉妬したり腹立つトコもあるけど、勇利は僕の大切な友達で、勇利が素敵なスケーターになる為やったら、僕は出来る限りの事をしてやりたい。…でも、」
クリスの質問に純はさらりと答えたが、近くのユーリを一瞥した後で英語からフランス語に切り替えると、言葉を続ける。
「もしも何かの気紛れで、勇利が本気で僕を求めてきたとしたら…きっと僕は拒む事が出来ひん」
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