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【YOI】銀盤の王と漆黒の王子【男主&勇ヴィク】

第4章 そばにいる、そばにいて。


痛みを覚える程肩と腕を掴まれながらも、純は感情に身を震わせる勇利の背を軽く叩く。
「2人だけで…ズルイよ。僕に黙って」
「せやな。けど、そうまでしてデコが勇利に伝えたかった事は、判るか?」
そう問われた勇利は、純の腕の中でピクリと身体を動かす。
「このシーズンを、デコがどんな想いで過ごしていたか、そして今後についての決意や覚悟、あの演技を通じてヴィクトルが勇利に何を伝えたかったか、ちゃんと読み取れたか?」
「…」
「そして勇利は、そんなデコの想いに応える事は出来るか?『リビングレジェンド』を玉座から引きずり下ろした君がすべき事は…ううん、何よりも勇利がデコに伝えたい事は?」
「──純、」
顔を上げた勇利は、僅かに涙を滲ませている瞳と眉を顰めると「ゴメン」と謝罪した。
「今、僕がヴィクトルに伝えたい事は…君への不義理になる。でも、僕は…」
「どうせ、そんな事やろと思うてたわ。ホラ」
だが、そんな勇利とは対照的にまるで全てを察していたかのような顔で、純は小さな袋を差し出してきた。
「早よ支度しておいで。後の事は、僕に任せてくれてええから」
「純…ホントにゴメン!有難う!」
袋の中身を確認した勇利は、純に礼を言いながら控室へと慌ただしく駆けて行く。
「…一体何なの?」
「ちょっとこれから忙しなるわ。悪いけど君も協力してくれ、クリストフ」
訳が判らず目を丸くさせているクリスにそう告げると、純はスマホを取り出した。

演技を終えたヴィクトルは、敢えて勇利とは顔を合わせないように、人知れずリンクの片隅でひとり佇んでいた。
競技者として全てをやり遂げた充実感と、ほんの少しの寂しさを綯い交ぜにしながらリンクの選手達を眺めていると、背後から声がかかった。
「こんな所に居やがった。手間かけさせやがって」
「ユリオ」
「もうすぐカツ丼の演技始まんだろ」
「今夜の俺は、ここでひっそり観るからいいんだよ」
「こっちはお前を連れてこいって頼まれてんだ。いいから来い」
「ええ~どうせ最後に皆で集まるんだから、その時でいいじゃん」
面倒臭そうに返すヴィクトルだったが、引かれた腕の予想外の力強さに顔を上げると、いつの間にか随分と身長が伸びていたユーリの背中に目をやる。
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