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【イケメン戦国】短編集✲*゚

第9章 【石田三成】待てば甘露の日和あり





家康と秀吉さんの説明を聞いてから、改めて二人のやり取りに目を戻す。
三成くんの菫色の瞳が透き通って、まるで謙信様の一挙一動、全てを見越しているように見える。




「…惚れ直した、って顔だな、千花」
「はっ…!?いや、秀吉さんそんなことっ…」


「ふーん。だらしのない顔してたけど」
「い、家康までっ…!!」






二人の意地悪な物言いに、ふい、とまた三成くんと謙信様に視線を戻す。
そんな間にも、こちらにまで風切り音が聞こえてきそうな二人の鍔迫り合いは続く――















「避ける一手かと思っていたが、なかなかやるらしい。この短い間に筋を読むとは…

信玄が神がかり的だ、などと言ったわけだ」



「…お褒めに預かり、光栄です」



「だが、この姫鶴一文字はお前の思考の先を行く」
「…なら私はその上を読むまで、ですよ」






「それは、面白い事この上ない…いざ、参らん」











どんな会話が交わされたか、こちらまでは聞こえては来ない。
しかし暫しの間の後、また謙信様の激しい剣撃が始まる。
その速さと勢いと言ったら、飛び散る火花が見えそうな程…そして緩急を付けた、まるで舞うような刀捌き。
ふわりと大きく振るわれた刀身が、春の陽光を反射する――



「きゃっ…!!」




謙信様が、右腕へと向かい刀を振るう。
いつかの情景が思い出され、思わず声を上げてしまう――しかし、三成くんは仰け反りそれを避け。
そのままの勢いで身を反転させ、後ろへと飛び退く。


薄紫の肩衣が斬られ、垂れ落ちたのを三成くんがちらり、と横目で見た。



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