第9章 【石田三成】待てば甘露の日和あり
信玄様、の名前を聞いて。
ほんの少し、三成くんの眉間の皺が深くなる。
以前なら不快感なんて、彼から感じられる事はほとんど無かった。
私が気付けるようになったのか、はたまた、彼が面に出すようになったのか――
「お前は、其の女と恋仲なのか?」
「そうですが、何か?」
「い、いや、あのっ…!!」
包み隠さない物言いに、あたふたする私を他所に。
二人の噛み合わないようで、ちゃんと意図の通った会話が繰り広げられる。
「将に色恋など不要だ。浮かれた感情は弱さを招く」
「そうでしょうか?私はそうは思いません。大事な人が居るというだけで、強くなれるのですから」
「み、三成くんっ…!!」
私の静止の声など全く無視したやり取りは、その後も更にさらに続き――