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Planet Blue 美少女萌え戦記

第2章 相模県箱根町 湯本温泉


 その後、夕食の刻限。

「選ばれし使徒様方、お待ちしておりました。今夜のお食事は、こちらです。お飲み物は一覧にございますが、お買い得なのはやはり、相模湾の海洋深層水かと…」

 この女性は、須崎グラティア優和(すざきGratiaゆうな)。説明すると長くなるが、とりあえず現段階では、姉さん達の盟友であり、「本業」は相模湾教会の司祭である事を述べておく。彼女が用意した色紙に、既に決まった献立が書かれている…のだが、勇姉さんはそれが気に入らないらしい。

「なんなのよ、このメニューは?お椀と称する液状の何か、お造りと称する鮮魚の遺体…日本語って複雑怪奇ね。はあ…気に喰わない。自分が食べる物くらい、自分で決める!私の運命は、私自身で切り開くのよ!」

 勇姉さんが中二病から脱却できない間、聖姉さんは献立の料理内容に見入っている。

「そういった比喩表現をも含めて、言の葉なのですよ。言霊には力があるゆえ、婉曲するという技法が意味を持ち得たのかも知れませんね。この料理は…あ、これはお姉ちゃんにも作れそうですね。お二人は、飲み物どれになさいますか?」

 ああ、そうだった。飲料を選択しなければ。私は…そうだな、これにしよう。「仁さんは、どれにする?」と言いながら隣を向いたら…。

「…めぐちゃんは…おねんねする…」

 相変わらず私の隣に居る仁さんは、まだ若い体をこの世に残したまま、意識だけ夏影の彼方に旅立っていた…仁さんは(睡魔に憑依されている時以外は)礼儀正しい少女である。

「須崎さん、海洋深層水とやらも良いですけど…正直飽きて来たんで、そろそろ何か、新しい商品を開発しませんか?」

「そうですね…いかんせん私は、専門が海洋学なので…あ、勇様は航空工学でしたっけ?それでしたら…シャトルか宇宙エレベーターに積んだ水を回収して『星空焼酎』なんてのも良いかも知れませんね!」

 そんな話をしながらも、とりあえず飲食しようと思って、隣の仁さんを起こそうとしたら…。

「これが桔梗ヶ原で、こっちが磐梯…」

 私の隣に常駐する仁さんは、いつの間にか起きていたが、食卓に届いた信濃の葡萄ジュースと、会津の清酒を融合し、ワインのような何かを創造していた。案外美味しそうな香りがしない事もないが、毒味見は成人後にして頂きたい。
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