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Planet Blue 美少女萌え戦記

第2章 相模県箱根町 湯本温泉


「ねえねえ、次はこっちに入ろうよ!お湯が湧き出て来て、体に当たるのが気持ち良いんだよ!あ、お外にも行こうね!それから、温室!」

 温室?ああ、サウナか。仁さんは(睡魔に憑依されていない時に限り)常に好奇心を働かせており、1回の旅行、一度の温泉だけでも、興味関心の対象を次々と発見しては、眼を輝かせている。気分次第で庖丁や鉈(なた)、神社では仕込み杖(刀が入っている)を標準装備している恐ろしさを無視するならば、彼女は可憐の顕現であり、純粋に微笑ましい。ところで、サウナの熱源ってどうなっているのだろう?

「あれはラドンの同位体、トロン元素よ。51.5秒ごとにトリウムに壊変するんだけど、その時に放射線が発生する。どうでも良いけど、サウナってフィンランド語らしいわよ」

 宗教学を探究し続け、自らも若くして十三宮教会の神官を務める聖姉さんに対して、勇姉さんは政治・軍事及び理系に強い傾向がある。

「夏なのに東京は毎日雨だったけど、相模も曇っているね。天空が真っ白だよ」

 湯本温泉は、早川の谷地形に立地している。私達の眼前には、緑豊かな斜面が迫っていて、夏らしく虫の鳴き声が聴こえる。その先は箱根山に連なり、上のほうには霧が掛かり、やがて白く曇った一面の空模様へと至る。思えば、あまり積極的に意識した事がなかったかも知れないが…。

「例え観光といえども、自然の中に身を置くと申しますか、そのような経験から、私達が感じ取るべき事は多いですね」

 思った事を先に言われた。また、思考を読み取られたようだ。聖姉さんの近くでは、如何なる悪巧みであれ、それを考える行為は避けたほうが良い。

「何か悪戯でも謀っているのですか?」

 この通り、すぐ露見する。

「…あれ?今、お空が急に光らなかった?」

 私の隣に居る仁さんが、俄かに声を大きくした。

「この時刻、天候…流星群は見えないはずよ。あるいは…」
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