第1章 十三宮仁
東京の新政府は、西欧的なデモクラシー国家「日本帝国」の開闢を宣言し、国民の自由と権利を保障し、新しき時代の元号は「光復」と定められた。小惑星の衝突は、皮肉にも西洋における冷戦の終結を促し、世界各国の人々は、隕石による甚大な被害からの復興に挑戦しながら、来たるべき21世紀の新秩序を模索して行った。我が国においても、様々な事件や出来事があった。その中で、自分自身に関して言えば、私、十三宮幸が生まれたという事を、一つとして挙げられる。また、光復7年の南播磨地震(坂神淡路大震災)や、同年の秘密結社「邪馬台国」による化学兵器テロ事件も、危機管理に関する重大な戦災として、我々の記憶に新しい。そして、もう一つは…。
「暫くの間、あなたを預かる事になりました、安東(あんどう)家棟梁の十三宮聖(とさみや ひじり)と申します。これも何かの縁、義理であろうと家族ですので、『お姉ちゃん』って呼んで下さいね^^」
「聖の双子、勇(いさみ)よ。ま、宜しくね。可愛がってあげるわよ」
「聖姉様と勇姉様の妹、仁(めぐみ)だよ!『めぐちゃん』って呼んでね!めぐちゃんはね、君のお嫁さんになるんだよ^^」
そして、もう一つは…新しい家族との出逢いである。この日記を書き始めた頃、私はまだ子供だった。けれど、この日記を書き終え、読み返す頃には、私自身も、日本も世界も、ひいては地球・宇宙さえも、過去や現在とは異なっているだろう。それを忘れぬため、この地球世界で、日本列島で何が起き、その中で自分は如何なる運命を選択したのか、この本に記録して行きたいと思う。今この瞬間、本書を読んでいるであろう、未来の私…そう、あなたのために…。
第1節
「十三宮仁」