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Planet Blue 美少女萌え戦記

第1章 十三宮仁


 昭和20年8月、陸軍等を中心とする大日本皇国政府は、ポツダム宣言の受諾を拒否し、米英との最終決戦に臨んだ。数多の国民が、第三の原爆投下や、連合国軍の上陸に備えて動員されると共に、日本独自の原爆開発や、太平洋諸島での撹乱工作(それは「イザナミ作戦」と呼ばれた)といった、無謀な起死回生さえも計画された。一方、漁夫の利を狙って満洲・朝鮮・樺太・千島への侵入を進めていたソビエト ロシアは、遂に北海道へと上陸し、その北部を占領するのみならず、札幌・箱館方面にまで迫った。

 終戦後、我が国は米露に分割占領されていたが、朝鮮戦争によって東アジアが混乱状態に陥ると、北海道から東北地方への拡大を企図していたロシア軍や、中華ソビエト共和国に支援された政治集団が勢力を広げた。「彼ら」は、民主主義の実現や、腐敗政治の撲滅、アメリカ依存からの脱却、そして貧しい労働者・農民の保護といった一見魅力的な公約を掲げる事で、国民から支持を集め、更に旧日本陸軍などの一部をも味方に取り込んで、内戦を制し、政権を掌握するに至った。誇り高き「日本人民共和国」の成立である。

 だが…いつの時代でも、権力には人間を変貌させる魔力があり、一度権力を手にした者は、それを自らが独占し、他を排除しようとする傾向がある。彼らもまた、同じ過ちに手を染めてしまった。彼らは、連立政権のほかの党派を解散させて、一党独裁体制を築き、産業国有化や市民の監視・弾圧を強行した。その結果は、最悪だった。人権統計資料などの調査記録によれば、数百万人もの自国民が、恐怖政治の犠牲者になったと考えられている。

 そして、共和国の成立から約三十年後の夏、天下は再び、革命の季節を迎えた。小惑星の地球衝突によって、人類文明は存亡の危機に瀕し、世界は大いなる混沌の時代に突入した。日本列島にも多くの隕石が落下する中で、独裁政権の支配に不満を抱いていた人々は、遂に人民共和国への本格的な反乱に立ち上がり、自ら新国家を「建国」する群雄さえ現れた。更に、アメリカ連邦に亡命していた日本人グループが、米軍の支援を受けて九州・関東に上陸し、九州の大半を占領すると共に、横浜・千葉・東京・水戸・宇都宮などを次々と陥落させ、ここに日本人民共和国は滅亡した。
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