第4章 内川の誓い
「信じて下さらなくても構いませんので、とりあえずお聴き下さい。まず、あなた様はもうお亡くなりになっています。次に、かつてあなた方が『メモリア』などと呼んだ魔術は、まずカール(Karl)様があなた様に討たれ、次いで明野様も蒸発し、最期にはあなた様自身がああなった結果、今や禁忌と化し、生き残っているのは、この唯一神グラティアただ一人と…」
弁論術に定評のある須崎司祭が(論理を飛躍させながら)懸命に説得を試みている。青薔薇は、馬鹿馬鹿しいと言わんばかりの態度で聴いているが、少なくとも私達を「味方」だと認識してくれたようだ。
「…つまり、たった1回のメモリア展開のために、私を叩き起こして、ここまで引き摺り出してくれたわけ?そもそも、3人なんて必要ないわ。私一人で充分よ…でもまあ、試して見ましょうか?聖さんと須崎さんが底辺を支えてくれれば、一人よりは長持ちするかも知れないし」
「…来た!迎撃開始の電報を受信!間もなく、伊豆反射砲がレーザーを発射する!閃光に注意して下さい!繰り返す…」
「さあ、急ぎましょう!優和様・亜紀ちゃん、皆の力を一つに!」
「はい!では改めて第一、悪魔の左手!」
須崎司祭が、左下にアクアマリンを。
「えっと…じゃあ私は第二、神の右手!」
姉さんは、右下にアメジストを。あとは、青薔薇が頂点に第三の宝石を…。
「第七の部屋!」
「えー!あっちゃん、数字幾つか飛ばしちゃったよ…」
「死ぬ前に一度やって見たかったのよこれ、ピラミッド!」
この情況でも遊ぶのは彼女らしいが、しかし、薔薇水晶の頂点を遂に得た三角形は、点から線へ、線から面へと次元を昇華させた。やがてその面は現世から遊離し始め、局所的な擬似ブラックホールの如き様相を呈した。
「…開けましたね!優和様、それに亜紀ちゃん!ありがとうございます!そして、亜紀ちゃんを呼べたのは、あなた方のお蔭ですよ^^」
「はーい!」
しかし姉さん、タロットカードから一体どういう因果で、星河亜紀の幽霊を呼び出したの?