第4章 内川の誓い
「簡単な事ですよ。『死』の逆位置…つまり死とは逆の事象を、『星』に対して奏上申し上げた次第です。なお、『死』のカードには『扉を開く』という意味がございます。また、星座や惑星などの『星』は、その子弟である守護石と密接に関わると、太古より信じられて参りました。私達が認識する宇宙の中で、これらに引き寄せられるお方と言えば…」
「私か、七星(ななせ)くらいしか居ないわね…まんまと釣られたわ。さあ二人とも、時間切れになる前に、さっさと入りなさい。私も早く還りたいんだから…」
「水底にて天主の恩寵を賜り、早数十年…この上は私、須崎グラティア優和、しぶとく見届けさせて頂きましょう!全てが終焉した後、聖杯を手にする騎士はどなたなのかをね…」
上空には対小惑星隕石砲と、それに対する迎撃ミサイル、ついでに緊急発進した戦闘機、更にはレーザー光線までもが飛び交っているらしいが、もはや自分の眼中には入らない。宝石の中に構築されたもう一つの世界において、私自身と、ついでにこの『プラネットブルー』とかいう偉そうな資料を保護しなければならない。それが短期的な「避難」で済むか、長期的な「封印」と化すのかは分からないし、鉱物の「内部」も未知数だ。ただ、地球の歴史を身に刻んだ宝石の中に、「私達の物語」と銘打ったばかりの文書を持参するのだから、それは必然的に、この世界における一切の存在、その記憶の欠片を辿る旅になるであろう。その中には、自分自身の姿もあるかも知れない。
さあ、突入だ…と前に進み始めた時、片腕を抑えられた。振り向いた、後ろの正面には…。