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Planet Blue 美少女萌え戦記

第4章 内川の誓い


「宝石の中にある世界を、防空壕にするの?でも、そんな力を使いこなせる人は…」

「はい…亜紀(あき)ちゃんも明野(あけの)様も『星』に成り、もう現世にはおられません…ですがあの後、お姉ちゃんも優和様から智慧を授かり修行を積み、ある程度は使えるように成りました。私と優和様が互いの力を共鳴させれば、扉を開く辺りまでは可能かと。やって見ないと分からない部分も残りますが…」

 彼女らが話しているのは、地球のマグマなどから永い歳月で形成された鉱物が、その歴史を記憶する事で、内部に独自の「世界」を構築するという超自然観に基づく魔術である。パワーストーンの中でも、先天的な素質に左右される傾向が強く、須崎司祭はかなり前から防御手段として習得していたが、聖姉さんの能力は平均程度と言われる。過去、この魔術を極めようとした者が何人かいたが、多くは道半ばで破滅したり、不可思議な最期を迎えたりしている。

「分かった!やって見ようよ!あなたも、良いでしょう?」

 この機に及んで魔術頼みという発想が適切なのかは疑問が残るが、それが最善の方法だと皆が信ずるならば、今更批判するのも不毛であろう。

「あ!その前に…例の無題文書を、お貸し頂けませんか?」

 そう言われ、寿能城代の資料集を姉さんに手渡した。

「かの小惑星は『禍津日神(まがつひのかみ)』、またの名を『石の魔女』などと謡(うた)われました。そして、その魔女を討たんとして造られたバベルの塔が今、対小惑星隕石砲とかいう名前で、私達人間に裁きを下さんとしています。恐らく、人の世から罪や穢れはなくならないでしょう…ですが、過去を現在から未来へと継承する中で、それらを悔い改め、禊ぎ祓う事はできます!この無題文書が、贖いの水となり得る時を願って、私が題名を名付けようと思います。皆様…石の魔女が始めた神話に、終止符を打つ覚悟は宜しいですか?」

「もちろんだよ!」

「言うまでもなく」

 仁さんと須崎司祭、そして私が頷く。

「かつて円卓の騎士は、物語の作者である同時に、登場人物でもあり、また聴衆ともなったそうです。その意味で、これは地球世界と極東の神国を舞台とした、現代における騎士道物語なのかも知れません。それゆえ、本書の名前は…」

 そして姉さんは、表紙の空欄に筆を乗せた。

『Planet Blue Ich-Roman』
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