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Planet Blue 美少女萌え戦記

第3章 東京市大森区 平和島


「これが『第三次大戦』、あるいは『世界最終戦争』などと呼ばれる事になるのでしょうか?しかし、よりによって立花(りっか)様とアガタ(Agatha)様が敵方に与するとは…未だに信じがたいです」

 橘(たちばな)ラインハルト立花と、中浦(なかうら)アガタ愛美(まなみ)。箱館コミューンの日本側協力者とされる彼らだが、かつては十三宮教会と協力した事もある知己である。ましてや橘立花は、私の先輩にして親友の一人でもあった。そんな彼らが名を連ねる箱館コミューンは、私達が所属する「旧世界」に対し、次のように宣戦布告して来た。曰く、諸人民は選択すべき運命を誤ったのであり、その大罪を贖うには、小手先の改革など有害無益であり、日本も世界も、破壊し尽くされた廃墟から創造し直すほかない(のかも知れない)のだと。信じる心を以て、平和の礎石を成さんとする聖姉さんの祈りは、またも裏切られた。人は、過ちを繰り返す…。

「橘立花と中浦アガタは、恐らく誰よりも人間を信じ、世界を慈しみ、万物を愛していた。そうあるべきと生きて来た。だが同時に、愛するに値する理想から遠ざかり、同じ過ちを繰り返す現実への憎しみも、劣らず強かった。希望と絶望、創造と破壊…二つの心が葛藤し、結局は後者のほうが勝ってしまったのだろう」

 姉さんの嘆きに、画面を眺めながら反応する富田巌千代(とみた いわちよ)、称号は「寿能城代(じゅのう じょうだい)」、生前戒名は「十三宮顕(あきら)」。地理学専攻で、十三宮家に帰依して「創氏改名」し、教会の史誌編纂係らしき仕事を担当している。余談だが、これまで挙げた「聖」「勇」「仁」「碧」「顕」のように、十三宮家とその信徒は、雅な漢字一文字の名前を好み、それを宗教上の法号(戒名・洗礼名)に用いるなど、教会なのに東アジア的な慣習を伝えている。とはいえ例外も少なからず、その一人である須崎グラティア優和が、続いて発言した。

「何度苦悩しようとも、結末は同じです。初めからそれが、中浦の本質だったのです。あの者は元より怒(いか)れていました…片割れの八洲(やしま)様も、最後の堤防となり得た宇都宮宗房(うつのみや むねふさ)さえも亡き今、もはや氾濫する事しかできない血液です。司教様…いえ、十三宮聖様!私に案がございます。もう二度と、あのような受難を謡わせぬために…!」
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