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【YOI男主】僕のスーパーヒーロー【勇利&ユーリ】

第2章 予感と覚悟と現実と


昨シーズンのシニアデビューから、「自分がこの容姿でいられるのは僅かな間だけだ」と熟知していたつもりだった。
だからこそ、利用できるものは何でも利用して全力で勝ちをもぎ取ろうと思った。
最高のコーチや振付で結果を出せば、相応の栄誉を手に入れる事が出来る。
同時に祖父をはじめ家族に楽をさせてやる事が出来る。
それだけの筈が、いつしか1人のスケーターから目を離せなくなった。
だけど、そいつは自分の事などまるで眼中にない。
きっとこうしている今だって、頭の中にあるのはあの「ジジイ」の事だけなんだ。

「ユリオ、どうしたの?」
不意に勇利に見つめられたユーリは、思わず赤面した。
「な、何でもねぇって!退屈だったらどっか他所行っててもいいぞ」
「ううん、折角だから僕も少し見てみるよ。それにしても、最近また背が伸びてきたね。やっぱりアジア人の僕とは、成長の度合いが違うんだなあ」
「…まあな。きっと来年にはお前を身長でも見下ろしてやるぜ」
「えぇっ!という事は、ユリオ再来年には更に伸びて10フィート(約3m)位になってるとか!?」
「ンな訳ねぇだろっ!」
勇利のボケに全力で突っ込みながらも、ユーリは自分の体型に合ったTシャツその他を購入した。
勇利から借りたシャツの下に見える明らかにサイズアウトしているTシャツに気付いた店員が、こちらで着替えたらどうだと勧めてきたが、ユーリは無言で首を振った。

買い物を済ませた後は、ランチにしようとショッピングビルの地下にあるフードコートに向かった。
複数の大型の紙袋を何の苦もなく運んでいるユーリを見て、勇利はかつて長谷津でヴィクトルと3人で、買い出しに行った時の事を思い出す。
その頃は未だ小柄だったユーリは、大量の荷物が入った買い物袋1つを、両手で必死に運んでいた。
いつの間にか大きくなったんだなあ、とまるで近所か親戚の子供でも見るかのようにユーリを一瞥した勇利は、「持てるからいい」と遠慮するユーリに「かさばってて歩きにくそうだし、人とぶつかったら大変だよ」と、彼の紙袋を1つ取った。
運良くソファーの席が空いたので、ユーリは荷物を置くと息を吐きながら腰を下ろす。
注文してくるという勇利に自分の分も頼むと、彼の背中に視線を送った。
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