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【YOI男主】僕のスーパーヒーロー【勇利&ユーリ】

第2章 予感と覚悟と現実と


ある休日。

「雑誌の撮影がある」と、朝から慌ただしく迎えの車で出発したヴィクトルを見送った勇利は、暫くリビングでダラダラしていたが、外にランチでも食べに行こうかと思っていた所へ、ユーリが現れた。
「買い物に付き合え。でもその前に、何かカツ丼の服貸せよ」
ジーンズの上に、心なしかサイズの合っていない小さめのTシャツを身に着けたユーリは、言うや否や勇利の部屋のクローゼットを漁り始めた。
それが、ユーリのお気に入りのTシャツだった事に気付くものの、勇利は持ち主を差し置いて部屋に侵入したユーリを止めるべく追いかける。
「コラ、返事も聞かず勝手に」
「下着ン所は開けてねえからいいだろ。…相変わらず地味でダッセェのしかねえな」
「そんな事言うなら、何も貸さないからね」
「──嘘です、貸して下さい」
まるで心のこもっていない返事を聞いて、勇利はやれやれと頭を掻いた。
これでも、かつてに比べたら「ダサイ服は、即燃やすからね」なヴィクトルや純のアドバイス等もあって、マシになった方である。
人前に出る時や、特にヴィクトルと一緒にいる時は、性格上華美に着飾ったりまではしないが、最低限の格好を心がけるようになった。
ヴィクトルは、勇利比でスタイリッシュになって来たのを喜んでいるが、その一方で、勇利に近付く者が増えてきた事に対してヤキモチも妬くようになったので、複雑な気分である。

「お、コレ良さそうじゃん」
やがて何かを探り当てたユーリは、クローゼットから取り出したダンガリーシャツを、Tシャツの上に羽織った。
「肌触りもいいし、カツ丼にしてはまともなチョイスだな」
それは、先日勇利のEXの為にピーテルを訪れていた純と買い物に出かけた時に購入したもので、色やデザインも勇利の好みである。
まだユーリには大き過ぎるのではないかと口を開きかけた勇利だったが、振り向きざま目にしたユーリの姿は、驚くほど似合っていた。
「…何だよ?」
「ううん、決まって良かったよ」
「よし、じゃあ出かけるぞ」
「その前に、散らかした服を片付けて。僕も手伝うから」
「ちぇっ、わーったよ」
ブツクサ言いながらも、素直に衣服を畳み始めたユーリの背中を眺めながら、勇利は、最近彼の目線が自分とそれ程変わらなくなってきたのを覚えた。
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