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【YOI男主】僕のスーパーヒーロー【勇利&ユーリ】

第4章 僕のスーパーヒーロー


勇利と別れて1人リンクを下りたユーリは、廊下に続くドアを開けようとした所で、お世辞にも好意的とは呼べない視線に気付くと足を止めた。
「心配しなくても、二度としねぇよ」
「当たり前だよ。次やったら、ただじゃおかないからな」
壁際から腕組みの姿勢でこちらを睨みつけている視線の主に、ユーリは片眉を釣り上げる。
「おいおい、お前今閲覧注意レベルのすっげぇ顔してるぞ。バルセロナの海岸の時以上か?」
「誰のせいだと思ってる」
明らかにいつもの余裕が消えている彼の様子に、ユーリは内心でほくそ笑む。
「安心しろよ。所詮アイツはお前の事しか見てねぇし、俺も馬に蹴られるような趣味はねぇ」
「…」
「あ、でも俺は引退に片足突っ込んでるお前より、これからもアイツと競技する事は出来るか。また一緒にイーグルのリングでも作って遊ぼうかな?」
「ユリオ!」
厳しい声にわざとらしく肩を竦めたユーリは、次いで大股に歩を進めてリンクの勇利を慌てさせている彼の姿を肩越しに眺めると、そっと呟いた。
「ヴィクトル・ニキフォロフは、とっくに『神様』なんかじゃねぇよ。お前が『人間』にしちまったんだ…勝生勇利」


【エピローグ】

ロシア大会の時よりは点数が出たものの、ユーリのGPS2戦目の成績も、ギリギリポイント獲得圏内に留まった。
しかし、当のユーリは「むしろこの程度の崩れで済んでホッとした」と、サバサバとした表情でインタビューに応じていた。
実際、少しずつだが調子を取り戻し始めているユーリの姿に、ヤコフとリリアも何処か安堵しながら見守っていた。
来るGPFでのヴィクトル・ニキフォロフと勝生勇利による師弟直接対決に世間の注目が集まる一方、ジュニアGPSではとある選手の活躍が取り沙汰されていた。
「彼を憶えているか?いよいよ来季、シニアに上がってくる」
ヤコフに雑誌を渡されたユーリは、ジュニアGPSの特集記事に掲載された1人の選手の写真を見る。
「コイツは…」
「何でも今季、お前の持っていたジュニアの記録を全て塗り替えたそうだ。今後は下からの選手も相手にしなければならない。覚悟しておけよ」
「『青い瞳のサムライ』…何かこいつのあだ名、クソヤバい位ずるくね?」
ユーリは、今後の新たな出会いと戦いに思いを馳せつつ、競技とは全く関係ない率直な感想を漏らしていた。


─完─
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