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【YOI男主】僕のスーパーヒーロー【勇利&ユーリ】

第4章 僕のスーパーヒーロー


青年の話を聞いて妙な胸騒ぎを覚えた勇利は、ギオルギー達と別れて単身リンクへと引き返した。
そして、サブリンクで無茶な練習を繰り返すユーリの姿を見つけた瞬間、土足なのも構わずリンクへと駆け寄ると、直後空中でバランスを崩したユーリの身体を受け止めたのである。

氷の上に尻餅をついたが、どうにか勇利はユーリの身体を支え切る事に成功すると、いつもより表情を険しくさせながら詰問した。
「何してるの!ヤコフコーチからも、オーバーワークだから休むようにって言われてただろう?」
「カツ丼?どうして…」
「どうもこうもないよ。この頃のユリオは変だよ?無茶な練習は、身に付くどころか大怪我の原因だって判らない筈ないよね」
思わぬ勇利の出現に、氷の寒さだけでない赤みが頬に差したユーリだったが、続けられた彼の言葉を聞いて眉を逆立てた。
「うるせぇよ!俺はお前やジジイみたいな年寄りと違って若いから、その分リカバリも早ぇんだ!」
そう言って離れようとしたが、極度の疲労に加えて勇利の見かけよりも強靭な腕に阻まれた。
まるで背後から勇利に抱き竦められているような形になり、ユーリは振りほどく事も出来ずただ鼓動を早めていく。
「離せよ!俺には休んでる暇なんかねえんだ!デカくなった身体にジャンプや色んな動きを馴染ませるには、とにかく練習しか…」
「そんな練習じゃ、何も身につかないよ?アスリートが成長期を迎えた時は、とにかく焦らず時間を掛けて…」
「──それじゃ間に合わねぇんだよ!俺がここでグダグダやってる間にも、お前は俺を置いて先に行っちまう!」
「ユリオ?」
勇利の上がった語尾を耳にして、迂闊にも自分が本音を漏らしてしまった事に気付いたユーリは、誤魔化すように舌打ちを1つすると、勇利から顔をそむけた。
「…何でもねぇよ。別に俺がこのまま潰れようがどうなろうが、お前には関係ねぇだろ?どうせお前は、ヴィクトルしか見てないんだから…俺の事なんか何も……もう、俺の事はほっといてくれよ!」
再度勇利から離れて立ち上がろうとしたユーリは、次の瞬間物凄い力で引き戻された。
「痛ぇ!こんの馬鹿力…っ」
「──許さない」
「…あ?」
「僕の競技人生を大きく変えた君が、そんな投げ遣りな…ゴミのようなスケートを続けるなんて、絶対に許さない」
いつになく剛毅な視線をぶつけられて、ユーリは激しく動揺した。
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