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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第3章 僕と「はじめまして」や、その他諸々。


『新たなステージへ・1』


──舞台は架空の中世王朝。
王宮で働く新米文官のセジンは、気弱で頼りない所もあるが、花を愛する心優しい青年だ。
だが、ひと度王宮や街に不穏な影が訪れると、セジンは剣の達人『パク・チャンソン』となって、あらゆる悪に立ち向かう…!
昨今韓国の特に若者の間で絶大な人気を誇るファンタジー風時代劇『快傑パク・チャンソン』の主人公を演じるイ・スンギルの姿に、リンクのあちこちからどよめきと歓声が上がった。

「君ならもっと、色んな事に挑戦できると思うてたけど…僕の勘違いみたいやったなあ」
「判り易い挑発だね。でも…何でかな。君が相手だと乗ってみたくなってきたよ」
オフシーズンに、純はイ・スンギルのEXの振付を打診された。
少しずつ振付師としての実績を重ね、最近ではEXに定評を貰えるようになった純だったが、まずは本人と実際に話をしてからという事になり、彼の拠点である韓国まで向かった。
4Loを武器に世界トップレベルの実力を持つスンギルだが、時としてそのストイックさが仇となり、基本ファンサービスを行わない彼を「実力はあるが、面白みに欠ける」と揶揄する者も少なくない。
シニアでの競技活動を通じて、スンギル自身もこのままではいけないと薄々気付いてはいるものの、彼のプライドと頑なな性格が、それに歯止めをかけているのだ。

「ひょっとして君は、EXやショーが嫌いなんか?」
「…そこまでじゃない。でも、競技で勝負している時とはあまりにも空気が違いすぎて、戸惑う事がある」
自分の演技の構成を緻密に分析・計算して得点を稼ぎ、勝ちへと繋げていくのがスンギルのスタイルだが、純は、彼がそれだけに留まる事を惜しいと考えていた。
「僕は、EXやショーは勝負事とは全く違った緊張感があると思うてる。むしろEXにまで『死合』モードを持ち込むのは、野暮と違うか?」
「判ってる。判ってはいるけど…」
昨シーズンのアジア大会で優勝したスンギルは、己の競技人生における大きな目標の1つを達成した事で、ある種の『燃え尽き症候群』のようなものを覚えていた。
年齢的にもベテランの域に差し掛かり、今後の進退についても考える必要が出てきたのもあって、スンギルは競技とは別の所で焦燥感に囚われていたのだ。
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